23日、日本サッカー協会はロンドン五輪アジア最終予選のU-23シリア代表戦(2月5日、ヨルダン)に臨むU-22日本代表21名を発表した。GK権田修一(FC東京)、MF東慶悟(大宮)など昨年11月の最終予選(バーレーン戦、シリア戦)に出場したメンバーが中心に選ばれた。また、11月にはA代表に帯同したため招集されなかったMF清武弘嗣(C大阪)、故障で戦列を離れていたMF山村和也(鹿島)が復帰を果たしている。なお海外組については、現在、各クラブに招集を打診中で、追加招集の可能性がある。
 いよいよ関塚ジャパンの五輪イヤーがスタートする。その初戦はいきなりの「天王山」だ。グループリーグ首位の日本は、現在同2位のシリア戦に勝利すれば、2試合を残して2位以下との勝ち点差が6に広がり、五輪出場に王手をかけられる。この大一番に臨む関塚ジャパンに、清武、山村という頼もしい2人が復帰することになった。ともに昨年9月に行われた最終予選マレーシア戦以来の招集だ。

 清武は2次予選からマレーシア戦までの3試合で1ゴール2アシストの活躍でチームを牽引してきた。だが、今月のグアム合宿出発直前に発熱し、緊急入院。一時は代表入りが危ぶまれた。チームに合流できたのは合宿5日目。最終日の紅白戦ではゴールの起点になるプレーを披露し、関塚監督に回復ぶりをアピールした。「何とか間に合った。(紅白戦で)やはり彼のところでボールが非常に集まるし、攻撃、守備のところのリズムというものが生まれる」と指揮官はホッとした様子だ。

 ただ、A代表に選ばれた清武といえどもレギュラーの座は安泰ではない。昨年11月の2試合では、海外組のFW大津祐樹(ボルシアMG)が2戦連続ゴールを決め、攻撃陣の定位置争いに名乗りをあげた。関塚監督は海外組の追加招集の可能性を示唆しており、清武にも“エース”としての結果が求められる。

 また中盤の要、山村の復帰は心強い。左第5中足骨亀裂骨折の影響で不在だった11月の2試合では、ボールポゼッションこそ高かったものの、相手に中盤を支配され、危ない時間帯もあった。冷静な読みと豊富な運動量でゲームをコントロールできる彼の存在は今のチームには不可欠だ。約3カ月のブランクは不安だが、関塚監督は「(山村の)試合での体力には問題はない。それに関する判断力、(実戦での)プレーというのはやればやるほど上がってきている」と大黒柱への変わらぬ信頼を口にした。

 大一番に向けた準備も万全だ。シリアは国内情勢が不安定であるため、今回のアウェー戦は第三国のヨルダンで開催されることが決まっている。しかし、中東での試合に変わりはなく、暑さや時差などの対策が必要だ。そのため、チームは今月25日からカタールでミニキャンプを張る。さらにU-23カタール代表、同イラク代表との練習試合を予定するなど、オフシーズン中の実戦不足解消にもぬかりはない。
「(事前合宿では)対シリアに照準を合わせて戦う。日本らしい、我々らしいサッカーで結果を残していきたい」
 狙うはもちろん勝ち点3。五輪切符獲得へ、関塚ジャパンが「天王山」を全力で制す。


<U−23日本代表メンバー21名>

GK
権田修一(FC東京)
※増田卓也(サンフレッチェ広島)
安藤駿介(川崎フロンターレ)
DF
※比嘉祐介(横浜F・マリノス)
※大岩一貴(ジェフユナイテッド千葉)
鈴木大輔(アルビレックス新潟)
※吉田豊(清水エスパルス)
酒井宏樹(柏レイソル)
濱田水輝(浦和レッズ)
MF
山本康裕(ジュビロ磐田)
清武弘嗣(セレッソ大阪)
※山村和也(鹿島アントラーズ)
※齊藤学(横浜F・マリノス)
山田直輝(浦和レッズ)
東慶悟(大宮アルディージャ)
山口螢(セレッソ大阪)
扇原貴宏(セレッソ大阪)
高橋祥平(東京ヴェルディ)
FW
永井謙佑(名古屋グランパス)
山崎亮平(ジュビロ磐田)
大迫勇也(鹿島アントラーズ)

「※」のついている選手は新シーズンの所属先