5日(日)、グループ首位のU-23日本代表が、同2位のU-23シリア代表との五輪アジア最終予選第4戦(アンマン)に臨む。日本は勝利すれば、5大会連続9度目の五輪出場に王手がかかり、負ければ首位陥落となる大一番だ。
 天王山に臨む若きサムライブルーにアクシデントが発生した。大黒柱のMF清武弘嗣(C大阪)が左足ふくらはぎ負傷のため、カタールで事前合宿中のチームから離脱することになったのだ。メンバーの追加招集はなく、シリア戦は残りの20名で戦うことになる。

 清武はA代表に帯同したため、昨年11月の最終予選2試合(バーレーン戦、シリア戦)に不参加だった。
「彼のところでボールが非常に集まるし、攻撃、守備のところのリズムというものが生まれる」
 満を持しての復帰に、関塚隆監督も期待を寄せていただけに、ショックは大きいだろう。さらに、今回は「助っ人」を呼ぶことができない。昨年11月は欧州組の大津祐樹(ボルシアMG)が清武の代役として招集され、2試合連続ゴールでチームを救った。しかし、今回は大津をはじめ、出場を打診した欧州組の全選手について、所属クラブが拒否したことが伝えられている。

 こうなると、現在いるメンバーで急場を凌ぐしかない。11月のシリア戦では4−2−3−1のシステムで2列目に左から大津、山田直輝(浦和)、東慶悟(大宮)が並ぶ布陣だった。今回も東が右サイドに起用されることが濃厚か。左サイドハーフには、これまで大津のほかに原口元気(浦和)も起用されていたが、今回は代表に選ばれていない。となると、山崎亮平(磐田)の出番だろう。優勝したアジア大会(2010年)では左サイドの主力として出場し、力強い突破から2得点と結果を出した。

 もうひとり左サイドで期待したいのは齋藤学(横浜FM)。昨季まで所属していた愛媛FCでは“愛媛のメッシ”と呼ばれたドリブラーだ。2011年は14得点でJ2得点ランク3位の成績を残した。サイドでボールを受けてからのカットインに、相手を引き付けた上でパスも出せる。関塚監督は前回、大津を招集した理由に「サイドでのタメ」と「仕掛けるプレー」をあげていた。その点では齋藤のスタイルも当てはまる。攻守のリズムをつくるために、左サイドに誰が起用されるのか。指揮官の決断に注目だ。

 シリアとは実力はほぼ互角といっていい。昨年11月のホーム戦では勝利したものの、2−1の接戦だった。特に怖いのがエースFWのアル・スマだ。前回の対戦は、一瞬のスキを突かれ、高い個人技から同点弾を決められている。アル・スマをどう封じるかが、守りの大きなポイントになりそうだ。
 攻撃面では決定力不足の解消が求められる。11月の試合でも前半のうちに先制し、その後もチャンスをつくりながら、なかなか2点目を決められなかった。これにより、シリアに反撃の糸口をつかませてしまった。今回の試合会場であるキング・アブドゥラ国際競技場は劣悪なピッチ状態が報じられている。思うようにボールをコントロールできないことが予想されるだけに、チャンスは確実にモノにしたい。

 日本にとってエースの不在は痛い。だが、レギュラーを狙う選手にとってみれば、アピールの絶好の機会だ。チームとしても選手層の底上げにつながる。ピンチをチャンスに変え、関塚ジャパンがロンドン五輪へ前進する。