13日、日本サッカー協会はロンドン五輪アジア最終予選のU-23マレーシア代表戦(2月22日、マレーシア)に臨むU-23日本代表20名を発表した。メンバーはMF山村和也(鹿島)、DF酒井宏樹(柏)など5日のU-23シリア代表戦に出場した選手が中心。MF原口元気(浦和)が昨年9月以来の代表復帰を果たし、FW杉本健勇(C大阪)は初めて選ばれた。なお、シリア戦直前に負傷離脱した清武弘嗣(C大阪)、所属クラブで練習中に右臀部を負傷した山田直輝(浦和)は招集を見送られている。原博実技術委員長は、海外組にも招集を打診しており、国内組も含めてメンバーを追加する可能性も示唆した。
「勝ちながらも点を取る布陣」
 これが自力での五輪予選1位通過がなくなった関塚ジャパンに求められる最大のテーマだ。5日のシリア戦の敗戦により、日本はシリアに総得点差で上回られた。逆転突破へ向けて必要になるのは大量得点。そこで得点力アップを託されたのは復帰の原口と初選出された杉本だ。

 原口は昨季、リーグ戦で9得点をあげ、A代表にも選出されるなど大きく成長した若手のひとり。しかし、練習中に同僚選手を負傷させる不祥事を起こし、謹慎処分を受けた影響で、1月のグアム合宿、5日のシリア戦には招集されていなかった。シリア戦後、所属クラブでのキャンプを視察したという関塚監督は、原口のコンディションが整っていることを確認。代表復帰を決めた。

「彼の持っているものは、中盤でボールを引き出すこと、突破へのパス、あるいは自分で切り開いていくところ」
 マレーシアとは昨年9月の対戦で、2−0と勝利したとはいえ、守勢の相手を攻めあぐね、消化不良の結果に終わった。守りを固める相手を崩すには、時に強引な攻め方も必要となる。速い仕掛けは原口の得意なスタイル。彼の復帰はチームを活性化させるためにも有効だろう。

 そして杉本は本命不在のワントップに期待されている。シリア戦ではスピードのあるFW永井謙佑(名古屋)のワントップでスタートし、選手の負傷交代より、前半途中でFW大迫勇也(鹿島)を据えた。永井のスピードは魅力ではあるが、引いて守るマレーシア相手では走りこむスペースが少ないだろう。大迫もポストプレーや裏への抜け出しなど器用さはあるものの、最終予選は4試合無得点と結果を出せていない。

 初選出の杉本は187センチのチーム最長身。09年のFIFAU-17W杯に出場し、3試合1得点をあげ、昨季はリーグ戦15試合出場で2ゴールを記録した。抜擢の狙いを指揮官はこう明かす。
「マレーシア戦では、高さと強さという彼の持っている力を引き出したい。前線でのキープ力で(味方の)ラインを押し上げることができるだけでなく、高さを生かした得点能力を出すことと、(杉本の)ポストプレーから他の選手がシュートする場面を作りたい」

 今予選、日本の1試合最多得点はわずか2点。得失点差、総得点の勝負になる残り2試合を関塚監督は「得点を多く取るために決定的なかたちをいくつ作れるか。(マレーシア戦では)その形を増やすことと、決定率を高めることが必要になる」とみている。A代表ではハーフナー・マイク(フィテッセ)という高さを加えたことで、攻撃のオプションを増やすことに成功した。杉本は1月のグアム合宿など、これまでもチームには参加しており、戦術面への順応にはさほど問題はないだろう。

「まずは勝利が大事。チーム全員がベクトルを合わせて試合を戦いたい」(関塚監督)
 背水の陣で臨むマレーシア戦は22日(水)。ロンドンで世界と戦うために、新しいパーツがきれいにはまるかどうかが重要なポイントとなる。

<U−23日本代表メンバー20名>

GK
権田修一(FC東京)
増田卓也(サンフレッチェ広島)
安藤駿介(川崎フロンターレ)
DF
比嘉祐介(横浜F・マリノス)
大岩一貴(ジェフユナイテッド千葉)
鈴木大輔(アルビレックス新潟)
吉田豊(清水エスパルス)
酒井宏樹(柏レイソル)
濱田水輝(浦和レッズ)
高橋祥平(東京ヴェルディ)
MF
山本康裕(ジュビロ磐田)
山村和也(鹿島アントラーズ)
齋藤学(横浜F・マリノス)
東慶悟(大宮アルディージャ)
山口螢(セレッソ大阪)
原口元気(浦和レッズ)
扇原貴宏(セレッソ大阪)
FW
永井謙佑(名古屋グランパス)
大迫勇也(鹿島アントラーズ)
杉本健勇(セレッソ大阪)