17日、日本サッカー協会は24日のキリンチャレンジカップ2012アイスランド代表戦(長居陸上競技場)に臨む日本代表25名を発表した。MF遠藤保仁(G大阪)やDF今野泰幸などの常連組が選ばれた一方、FW大久保嘉人(神戸)が南アW杯以来の代表復帰。FW久保裕也(京都)、MF柴崎岳ら5人が初めてA代表に選出された。アイスランド戦には海外組を招集せず、25日に改めてW杯3次予選ウズベキスタン戦(豊田スタジアム)に臨むメンバーを発表する。
 2012年の初戦に臨むにあたり、アルベルト・ザッケローニ監督は「メッセージ」という言葉を繰り返し発した。
 海外組を招集しないアイスランド戦は「ウズベキスタン戦に向けた試合勘の回復」「初めて呼んだ選手の確認」「若い選手へのメッセージ」の3つを試合のテーマに設定した。なかでも強調したのが「若い選手へのメッセージ」だ。初選出された5名のうち、23歳以下の若手は久保、柴崎、MF磯村亮太(名古屋)の3選手。指揮官は抜擢の理由をこう説明する。
「彼らは非常に将来性のある選手だと思うし、手元に置いて見てみたいと思っていた。また、(3人以外の)若い選手たちにも、将来に向けて期待しているというメッセージを発信したかった」

 3人のなかで、注目されるのは久保(18歳)と柴崎(19才)の10代コンビだ。
 久保は昨季、京都ユースに在籍しながらJ2全38試合中30試合に出場、チーム最多の10ゴールをあげた。この元日に行われた天皇杯決勝でも、途中出場から得点を決めるなど勝負強さを発揮し、今季から晴れてトップチームに昇格した。ザッケローニ監督は「タイプ的には近代的なFW。何でも起用にこなすことができる」と若きストライカーを評価。J1でプレーしている選手に比べて経験が不足している点を指摘し、今回の招集はさらなる成長へ高いレベルを体感させる意味合いが強いことを明かした。

 柴崎は昨季、リーグ戦13試合に出場し、ナビスコ杯ではレギュラーとしてクラブのタイトル獲得に貢献した。リーグ戦においても終盤はスタメンで起用される機会が増え、本職のボランチに加えて右サイドバックも務め、選手としての幅を広げた。だが、現代表のボランチには遠藤、MF長谷部誠(ヴォルフスブルク)が不動のレギュラーとして君臨している。そのバックアッパー争いも熾烈だ。指揮官は「技術力、バランス、パーソナリティーでクオリティーを持っている」と柴崎の能力を高く買っており、「代表の空気に触れてほしかった」とこちらも将来を見据えた選出となった。

 若い選手たちについてザッケローニ監督は、「昨年6月に招集して出場機会のなかった宇佐美貴史(バイエルン)と似たケース」とも語っており、彼らを実際に試合で起用するかは微妙なところだ。ただ、宇佐美の時は代表に海外組も招集しており、彼らのいないアイスランド戦はその分、出番がまわってくる可能性も高いはず。久保、柴崎らにとっては練習でのアピールが重要になりそうだ。

 このように「若い選手へのメッセージ」を発信したザッケローニ監督だが、「ベテラン選手へのメッセージ」も忘れなかった。今回、監督就任後に初めて呼んだ選手の中には、大久保(30歳)、MF石川直宏(31歳、FC東京)ら比較的年齢の高い選手も含まれている。

 強豪と呼ばれる国は、攻守だけでなく、世代間のバランスがいい。若い選手の勢いとベテラン選手がもたらす経験を合わせ、すべてにおいてバランスのとれたチームづくりを試みていることがうかがえるメンバー選考だ。アイスランド(FIFAランキング103位)には過去の対戦で2戦2勝。油断は禁物だが、多少の“実験”も可能な相手だろう。

 A代表の2012年のテーマは「対世界」。その所信表明ともいえる試合で、ザックジャパンが「メッセージ」を発信する。

<日本代表メンバー25人>

GK
林卓人(ベガルタ仙台)
山本海人(清水エスパルス)
西川周作(サンフレッチェ広島)
DF
駒野友一(ジュビロ磐田)
岩政大樹(鹿島アントラーズ)
今野泰幸(FC東京)
栗原勇蔵(横浜F・マリノス)
近藤直也(柏レイソル)
伊野波雅彦(ヴィッセル神戸)
森脇良太(サンフレッチェ広島)
槙野智章(浦和レッズ)
MF
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
阿部勇樹(浦和レッズ)
増田誓志(鹿島アントラーズ)
柏木陽介(浦和レッズ)
磯村亮太(名古屋グランパス)
柴崎岳(鹿島アントラーズ)
FW
石川直宏(FC東京)
前田遼一(ジュビロ磐田)
大久保嘉人(ヴィッセル神戸)
藤本淳吾(名古屋グランパス)
田中順也(柏レイソル)
金園英学(ジュビロ磐田)
久保裕也(京都サンガF.C.)