25日、日本サッカー協会はW杯アジア3次予選最終戦のウズベキスタン戦(29日、豊田スタジアム)に臨む日本代表23名を発表した。国内組からは24日のアイスランド戦に引き続きDF槙野智章(浦和)やMF遠藤保仁(G大阪)らを招集。海外組はGK川島永嗣(リールセ)、DF長友佑都(インテル)らが順当に選ばれるなか、FW宮市亮(ボルトン)が初選出された。左足首を負傷しているMF香川真司(ドルトムント)は、26日のリーグ戦に出場した場合、追加招集の可能性がある。
 日本サッカー界の新星・宮市が、ついにA代表に選ばれた。国内組のみで臨んだアイスランド戦のメンバー24人から海外組が加わり、12人が入れ替わる中で唯一の初選出だ。
 宮市は18歳で世界的名門のアーセナルと契約し、昨季はオランダリーグのフェイエノールトに期限付き移籍でプレーした。リーグ戦12試合で3ゴールの結果を残し、今季は1月からボルトンに再び期限付き移籍。移籍2試合目となったFA杯(対ミルウォーキー戦)でゴールをあげるなど、その実力の高さを証明しつつある。

 アルベルト・ザッケローニ監督はこれまでも宇佐美貴史(バイエルン)、柴崎岳(鹿島)や久保裕也(京都)ら、10代の選手を招集してきた。しかし、いずれもA代表の環境を経験させるための“体験授業”であり、彼らを試合で使うことはしなかった。ただ、宮市に関しては“体験”目的ではない。
「代表選手としては、(宇佐美などより)もう一歩前に出てきている。招集したからには、プレーするチャンスはある」とザッケローニ監督は、試合前に起用しない方針を明言した久保や柴崎などとは扱いが異なることを示唆した。

 指揮官が“戦力”として期待する最大の魅力はスピードだ。100mを10秒台で走る快足でマッチアップする選手を抜き去る。ザッケローニ監督も「持久力にも優れており、長い距離でもスピードが落ちない。守備でもチームに献身的なプレーをしている。タイプ的にはサイドで生きる選手」とそのプレースタイルを評価している。左サイドMFのレギュラーである香川の招集が不透明なだけに、初招集初先発の可能性もないとはいえない。

 対戦相手のウズベキスタンは日本を勝ち点で3上回り、現在、グループ首位。昨年9月のアウェー戦では引き分けに終わっている。
「ダイナミックなサッカーをしている。パーソナリティ、走力、技術のある選手たちが揃っている。通常のアジア各国のスタイルとは一線を画したサッカーを実践している」
 ザッケローニ監督が語るとおり、¬カウンターを多用するアジアの多くの国とは異なり、ウズベキスタンはサイドからの攻撃的なサッカーを志向する。中心選手は2011年度AFC最優秀選手のMFセルヴェル・ジェパロフ。攻撃の軸を担い、昨年の対戦ではゴールを決められた。また、頻繁に前へ仕掛けてくるダブルボランチも要注意だ。

 攻撃面では、ザックジャパン立ち上げからのテーマである「タテに速いサッカー」が求められる。アイスランド戦では、61.6%のボール支配率を誇ったが、横や後ろにつなぐパスが多く、スピード感ある展開は少なかった。その中で、トップ下で途中出場したMF中村憲剛(川崎F)はボランチの遠藤と縦の関係をつくり、少ないパスで攻撃を展開する場面をつくっていた。ウズベキスタン戦も中村が攻撃の起点となりそうだ。

 6月から始まる最終予選に向けて、ウズベキスタン戦は最後の実戦だ。ザッケローニ監督は試合のテーマに「今回は、海外組の選手にそれぞれの役割を復習させる」ことを掲げ、その上で「何としても勝ちたい」と結果にもこだわる姿勢を見せた。
 最終予選の組合せは3月7日時点のFIFAランキングを基にシード分けが行われる。現在、日本は30位とアジアではオーストラリア(24位)に次いで2番目。韓国が34位であることを考えれば、ホームで敗れるわけにはいかない。最終予選の戦いを優位に進める上でも、ザックジャパンにとっては大事な一戦となる。

<日本代表メンバー23人>

GK
川島永嗣(リールセSK)
山本海人(清水エスパルス)
西川周作(サンフレッチェ広島)
DF
駒野友一(ジュビロ磐田)
今野泰幸(FC東京)
栗原勇蔵(横浜F・マリノス)
伊野波雅彦(ヴィッセル神戸)
長友佑都(インテル・ミラノ)
槙野智章(浦和レッズ)
内田篤人(FCシャルケ04)
吉田麻也(VVVフェンロ)
MF
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
長谷部誠(ヴォルフスブルク)
増田誓志(鹿島アントラーズ)
細貝萌(アウグスブルク)
柏木陽介(浦和レッズ)
FW
藤本淳吾(名古屋グランパス)
李忠成(サウサンプトン)
岡崎慎司(シュツットガルト)
ハーフナー・マイク(SBVフィテッセ)
乾貴士(ボーフム)
宮市亮(ボルトン)