25日、「2012ロンドン五輪バレーボール世界最終予選」(女子)第5戦が行なわれ、日本は世界ランキング10位のキューバと対戦した。フルセットにまでもつれこんだ接戦を制した日本は、通算成績を4勝1敗とし、ロンドンの切符獲得まであと1勝とした。

日本 3−2 キューバ
(25−23、18−25、25−16、23−25、17−15)
 3大会連続出場に向けて正念場を迎えた“火の鳥NIPPON”。この試合に勝てば、ロンドンへの道が見えてくる大一番、その緊張からかスタートでいきなりつまづいた。3−2からスパイク、サーブにミスが続出し、キューバに6連続ポイントを奪われる。ここからなんとか立て直しを図ろうとWS山口舞が奮闘するも、一度開いた差はなかなか縮まらなかった。一方、キューバは21歳の若きエース、WSヨアナ・パラシオスを中心に、角度あるスパイクを次々と決めていった。スコアは17−23となり、会場に諦めムードが漂い始めた、

 と、その時だった。突如、試合の流れが変わった。WS木村沙織、WS江畑幸子のスパイクが連続で決まると、相手エースのスパイクがネットにひっかかり、3連続ポイントを奪う。20−23と3点差にまで詰め寄ったところで、キューバがタイムアウトをかけた。しかし、日本の勢いは止まらない。タイムアウト明け、木村がサーブポイントを奪うと、山口、MB岩坂名菜が立て続けにブロックを決めると、またも木村がサーブポイントを奪い、日本が一気にセットポイントを迎えた。そして最後は江畑のレフトからのストレートがきれいに決まり、窮地に立たされたところから日本は怒涛の8連続ポイントで、このセットを逆転で取ってみせた。

 だが、続く第2セットも序盤から試合の主導権を握ったのはキューバだった。3−3から3連続ポイントでリードを奪うと、中盤にはWSウィルマ・サラスのサーブが日本の守備を崩し、2本のエースを含め、キューバは7連続ポイントを奪って、その差を8点にまで広げた。日本は途中出場のWS新鍋理沙やMB平井香菜子、WS迫田さおりが奮闘し、粘りを見せたが、時既に遅し。このセットはキューバが取り返し、セットカウントは1−1となった。

 第3セット、日本は第2セットで奮闘した平井、迫田、新鍋をスタートから起用した。指揮官の期待に応えるかのように、平井が熟練の技を見せると、迫田は思い切りのいい強烈なスパイクを決めていった。彼女らに押されるかのように、エース木村がサーブで2連続ポイントを奪うと、負けじと新鍋もライトからのスパイクを2本連続で決め、徐々に流れは日本へと傾いていった。2回目のテクニカルタイムアウト後の1本目、MB荒木絵里香がブロックを決めると、会場のボルテージはますます高まった。すると、集中力が切れたのか、キューバのプレーに精細さが欠け始めた。スパイク、レシーブ、サーブと攻守にわたってミスを連発。日本は試合巧者ぶりを見せて得点を重ね、最後は平井がエースのパラシオスのスパイクをシャットアウトし、日本が勝利に王手をかけた。

 第4セット、眞鍋政義監督は第3セットの勢いそのままに、平井、迫田、新鍋をスタートから起用した。しかし、序盤は日本の攻撃が機能せず、スパイクが決まらない。逆にキューバは息を吹き返し、サイド、センターと多彩な攻撃で日本を引き離していった。日本も少しずつ勢いを取り戻し、ジリジリと追い上げをはかるも、なかなかその差が縮まらない。それでも24−20から迫田、木村と3本連続でスパイクが決まり、23−24にまで迫った。しかし、最後はキューバの角度ある速攻が決まり、試合はフルセットにまでもつれこんだ。

 運命の最終セット、一進一退の攻防が続く中、迫田のスパイクが2本連続でブロックされるなど、終始キューバが先攻する展開となった。しかし、8−9から迫田が得意のバックアタックを決めて同点とすると、相手エースがスパイクをミスし、この試合、初めて日本がリードした。ここから再び激しい攻防戦が続く。相手エースが強烈なスパイクを決めれば、日本も迫田のバックアタックでポイントを重ねた。そして15−15から、このセット、4本目となる迫田のバックアタックが決まり、日本がマッチポイントを迎えた。すると、キューバのサーブレシーブが崩れ、苦しい体勢から打ったスパイクがラインを割り、ゲームセット。日本はフルセットの末に、ロンドンに向けて貴重な1勝を挙げた。

 この試合、チームを救ったのは途中出場ながら木村を上回るチームトップの20得点を挙げた迫田だった。「逃げる気持ちが全くなかった」と試合後、司令塔のS竹下佳江が語ったように、この試合の迫田は最後まで思い切りさが失われなかった。徐々にキューバのマークが厳しくなり、ブロックされる場面もあったものの、それでも竹下は迫田にトスを上げ続けた。そして迫田もそれに応える活躍を見せた。
「韓国戦の敗戦を無駄にしたくなかった」という迫田は「トスが上がる前から、自分にくると思って入っていた」とし、この大会では控えにまわっていることについても「たとえ控えでもユニホームを着ているからには、いつでもいけるように心の準備はいつもしている」と、自分の役割への意識の高さをうかがわせた。

 これで通算成績を4勝1敗とし、勝ち点11で2位をキープした日本。明日の試合は5戦全勝と好調のロシアと対戦する。「エースのガモアを中心に、高さがあるチーム。それだけにサーブ、サーブレシーブが機能するか。そして、自分たちのスパイクがロシアのブロックにつかまらないようにするかがカギとなる」と、指揮官は当然ながらロシアの高さを警戒した。ロンドンまであと1勝。残り2試合をチーム一丸となって戦い抜く。