20日、スウェーデンに遠征中の日本女子代表が、五輪で同組のスウェーデン女子代表と対戦した。日本は前半27分、FW永里優季(ポツダム)のゴールで先制する。その後は、相手に押し込まれる展開が続いたが、失点を許さず1−0で試合終了。五輪代表メンバー発表前最後の試合を白星で終えた。五輪代表は7月2日に発表予定となっている。

 永里、勝利導く2試合連続弾(ヨーテボリ)
スウェーデン代表 0−1 日本代表
【得点】
[日] 永里優季(27分)
 18人の代表メンバー入りへ最後のアピールの舞台、輝きを放ったのは控えGKの福元美穂(岡山湯郷)だ。この試合、日本は出場機会の少なかった選手を多く起用し、米国戦の先発メンバーから8人を入れ替えた。福元は代表初選出のFW大滝麻未(リヨン)らとともにスタメンに名を連ね、決定的なピンチを防いで完封勝利に貢献した。

 序盤、日本はスウェーデンの猛攻を受けたが、ワンチャンスを生かして先制する。前半27分、決めたのは永里だ。FW安藤梢(デュイスブルク)がPA中央に出したスルーパスに素早く反応。フリーでゴール正面に抜け出し、右足ダイレクトで飛び出してくるGKの脇を抜いた。
 このゴールをきっかけに主導権を握りたかった日本だが、パワーとスピードで勝る相手に突破を許し、シュートまで持ち込まれる場面が目立つ。しかし、福元を中心とするDF陣がしっかりと対応し、簡単にはシュートを打たせない。

 後半も、日本は追加点を狙いにいくが、なかなかゴール前までボールを運べない状態が続く。高さのある相手DFにロングボールやクロスをはね返され、徐々にスウェーデンのフィジカルを生かした攻撃に押し込まれた。

 それでも、この日の守備陣は粘り強かった。26分には、DFテーネブロのミドルシュートがゴール左上を襲うが、福元がパンチングで防ぐ。その直後にも、MFフィッシャーにドリブルでPA内に侵入されるが、シュートはDFがブロックした。

 その後もスウェーデンの猛攻を受けながら、ゴールの前に立ちふさがったのが福元だ。38分には、PA右サイドを抜け出したFWシェリーンのシュートを左に横っ飛びでファインセーブ。ロスタイムには、左CKからこぼれ球をDFバレロンドに押し込まれたが、右手ではじき出した。その働きに刺激されたのか、守備陣も集中力が最後まで切れない。2日前に4失点を喫した米国戦のようなマークのズレなども見られず、5試合ぶりの完封で試合を終えた。

「(どの選手も)期待以上のプレーはしていない。(メンバーは)まだ日本に残っている選手もいるので、それを確認してから決めたい」
 佐々木則夫監督は、この2連戦をそう総括し、笑顔は見せなかった。しかし、控え選手中心で臨んだ試合でも、押し込まれながらもしっかりと勝ち切った点には手応えを感じているのではないか。代表デビューの大滝も得点に絡むなど、チーム力は着実に底上げされている。

 福元の活躍により、海堀あゆみ(INAC神戸)との正GK争いが熾烈になったことは間違いないだろう。ドイツW杯では海堀がレギュラーだったが、福元も北京五輪で正GKを務めるなど、経験に差はない。勝利の立役者となった福元は「まだメンバーに選ばれてないから、どうなるかはわからない。今日のように無失点に抑えれば勝利できる。これからもDFと協力していきたい」と前を見据えた。本番に向けたチーム内の競争が、なでしこたちをさらに強く、たくましくする。