ラグビー・トップリーグは18日、都内の日本ラグビー協会で会見を開き、来季の2013-14シーズンより、チーム数を2つ増やして16チームとし、8チームずつの2プールに分けた2ステージ制で順位を争うことを発表した。03年にスタートしたトップリーグは当初12チームでスタートし、06-07シーズンより現状の14チームに増加。総当たりによるリーグ戦と、上位4チームによるプレーオフで順位を決めてきた。会見に臨んだラグビー協会の矢部達三専務理事は、今回の変更について「2016年のイングランドW杯、19年の日本W杯で、強い日本代表をつくることにつながる」と期待を込めた。
 日本ラグビーがより強くなり、より広まり、より役に立つ――それがトップリーグの考えた改革のコンセプトだ。大きな変更点のひとつは参加チーム数の増加。今季はトップリーグからの自動降格はなく、トップチャレンジリーグから1、2位が自動昇格する。そして、3、4位のチームがトップリーグの13、14位と入れ替え戦を実施する。チーム数、試合数をいずれも増やすことで、競技の普及はもちろん、全体のレベルアップを促すことが目的だ。

 またリーグ内の実力差に伴うワンサイドゲームや、プレーオフ進出や降格とは関係ない消化試合を減らすため、2プール2ステージ制を導入する。まず8月末から10月にかけて開かれるファーストステージでは、昨年の順位に基づいて全16チームを2つのプールに分割。グループAには昨季の1、3、5、7位……、グループBは昨季の2、4、6、8位……が入る組み分けで、それぞれの中で総当たりのリーグ戦(各チーム7試合)を展開する。セカンドステージでは、ファーストステージの各プール上位4チーム同士、下位4チーム同士で8チームずつの2プールを形成し、再びプール内での総当たりリーグ戦を行う。

 このセカンドステージでは、ファーストステージでの順位に応じ、最大で勝ち点4(=通常の1勝分に相当)のボーナスポイントが最初に加算されるアドバンテージを設ける。同ステージ終了時に、“上位プール”で4位までに入ったチームがプレーオフに進出し、他の4チームは日本選手権の出場権をかけたワイルドカードトーナメントに進む。“下位プール”では上位4チームに同じくワイルドカードトーナメント出場権が与えられ、下位3チームはトップチャレンジリーグとの入れ替え戦に臨む。最下位チームは自動降格となる。

 この2プール2ステージ制により、トップリーグでは「ファーストステージ、セカンドステージ、プレーオフとシーズン中に3つのヤマ場ができる」「セカンドステージでは実力の拮抗したチーム同士の対戦が増え、接戦が予想される」といった効果を見込んでいる。

 ただ、リーグを常に2プールに分けて行う方式のため、「リーグ内で対戦のないカードが出てくる」といった公平性の問題や、「セカンドステージの下位プールの試合では集客が落ちる」といったデメリットが考えられる。これらの点について、ラグビー協会の南隆雄トップリーグ部門長は「2年続けて対戦がない場合、3年目はファーストステージで同じプールに入れるといった調整を行うことを考えている。また集客に関しては、同一日でのダブルヘッダーを増やすことで対応したい」と話した。

 競技の裾野を広げ、発展させていく上でチーム数の増加は必要な施策だ。ラグビーへの注目度を高めるためにも、今回の改革のようにシーズン中のヤマ場を増やすことも大切だろう。その反面、大会方式が複雑になり、ラグビーファン以外にはやや分かりにくいリーグ戦になるのも事実だ。

 ラグビー協会の稲垣純一事業委員長は「情報提供していくことが大事になる」と話す。8月31日に開幕する今季のトップリーグには、W杯翌年ということもあり、ニュージーランド代表のCTBソニービル・ウィリアムズ(パナソニック)ら世界のスター選手が来日している。しかし、その凄さが一般にあまり伝わっていないのが現状だ。新方式の導入により、PRも含めたリーグの戦略が今まで以上に問われることになる。