ロンドン五輪に出場する柔道日本代表の選手団が20日、都内の講道館で壮行式に出席した。男女全14名の代表選手と監督、コーチが、講道館道場に詰めかけたファン、関係者から激励を受け、吉村和郎団長(全日本柔道連盟強化委員長)が「この時のために4年間、全力を尽くしてきた。みんなが金メダルを獲れるように頑張り、全階級制覇を目指す」と力強く宣言した。
(写真:子供たちから花束を受け取る選手たち)
 日本、そして柔道にとって、このロンドン五輪は節目の大会だ。日本が初めて五輪に参加したのは100年前の1912年ストックホルム大会。陸上の2選手からなる選手団の団長を務めたのが、講道館柔道の創始者である嘉納治五郎だった。講道館が嘉納の手によって創設されてからも、今年はちょうど130年に当たる。

 五輪競技に柔道が採用された1964年の東京五輪以降、日本は35個の金メダルを獲得。これまで夏季五輪で日本勢は123個の金メダルに輝いているが、実にその約3割は柔道によるものだ。今回、日本オリンピック委員会(JOC)は「金メダル数で世界5位」を目標に掲げているだけに、“お家芸”に寄せる期待値は高い。来賓として訪れたJOCの竹田恒和会長は「柔道は初日(28日)から始まる。皆さんの活躍がチームジャパンの士気を高め、大きな力になる」と激励した。

 これに応えて、五輪の日本選手団団長も務める全柔連の上村春樹会長は「金メダル数世界5位の目標達成にはスタートダッシュが大事。柔道で弾みをつけて頑張りたい」と語り、「必ず勝てる選手たちだと自信を持っている。自分の柔道をやれば必ず結果はついてくる」と選手たちへ檄を飛ばした。

 今回の代表は14名中12名が初出場とフレッシュな顔ぶれだ。5月の代表決定以降、選手たちは度重なる合宿を実施し、更なるレベルアップに励んできた。男子代表の篠原信一監督は「ここまでしっかり稽古が積めている。また大きなケガもなく調整できている。1個でも多く金メダルを持って帰りたい」と決意を述べた。男子100キロ級の金メダル候補、穴井隆将(天理大職)は「代表の雰囲気は明るい。いい状態で現地に入れる」と笑顔。「今だという時に技がかけられている。8、9割の段階までできているので、残りは現地に行って仕上げたい。金メダルを獲ることしか考えていない」と決意を口にした。
(写真:初日に登場する女子48キロ級・福見も「いい準備ができている」と順調そう)

 日本が五輪で過去最多タイの金メダル(16個)を獲った前々回のアテネ大会では、柔道で半分の8個を稼いだ。一方、前回の北京五輪では4個の金メダルにとどまり、全体でも9個だった。柔道と日本勢全体の成績は相関関係にある。お家芸がメダルラッシュで日本に追い風を吹かせる。


<代表選手ひとこと>
【男子】
60キロ級 平岡拓晃(了徳寺学園職) 「金メダル目指して頑張る」
66キロ級 海老沼匡(パーク24) 「一戦一戦、全力で挑戦者として頑張る」
73キロ級 中矢力(ALSOK) 「初めての五輪。自分の力を出し切って優勝を目指す」
81キロ級 中井貴裕(流経大) 「一戦一戦、悔いのないように頑張る」
90キロ級 西山将士(新日鉄) 「自分らしく金メダルを目指す」
100キロ級 穴井隆将(天理大職) 「金メダルだけを考えて一戦必勝で臨む」
100キロ超級 上川大樹(京葉ガス) 「一戦一戦、全力で悔いのないように戦う」
【女子】
48キロ級 福見友子(了徳寺学園職) 「自分自身に打ち克って、いい柔道をして金メダルを獲りたい」
52キロ級 中村美里(三井住友海上) 「できることはやってきた。全力を尽くす」
57キロ級 松本薫(フォーリーフジャパン) 「優勝目指して頑張る」
63キロ級 上野順恵(三井住友海上) 「しぶとい柔道で優勝を目指す」
70キロ級 田知本遥(東海大) 「自分の力を出して、一番いいメダルを獲る」
78キロ級 緒方亜香里(筑波大)「今までやったことを出し切って自分らしい柔道をする」
78キロ超級 杉本美香(コマツ) 「全力で、やってきたことをすべて出し切る」