7日、女子バレーボール準々決勝が行なわれ、日本はアジアの強豪・中国と対戦。ファイナルセットの末、日本が3−2で勝利を収め、88年ソウル五輪以来、24年ぶりに準決勝進出を決めた。9日の準決勝では表彰台をかけ、ブラジルと対戦する。

日本 3−2 中国
(28−26、23−25、25−23、23−25、18−16)
 日本の女子バレーは1988年ソウル五輪を最後に、準々決勝の壁を突破できていない。鬼門とされるこの試合、相手はこれまで五輪では5度対戦し、全てストレート負けを喫している中国だった。第1セットからまさに一進一退の激しい攻防戦が繰り広げられた。日本はエースのWS木村沙織がレフトからのクロススパイク、さらには速いバックアタックを決めれば、中国は“アジアの大砲”WS王一梅がパワーある重いスパイクを日本のコートに叩きつけた。

 お互いにリードを奪えないまま、試合は中盤へと入る。しかし、13−13から中国はブロックポイントなどで、この試合、両者通じて初めて3連続ポイントを奪い、勢いづく。一時は4点差をつけ、試合の主導権を握った。だが、日本も粘りを見せる。18−21からMB大友愛のブロード、木村のレフトからのクロススパイク、そして21歳、次期エース候補のWS恵若のスパイクを、キャプテンMB荒木絵里香がブロックで止め、同点に追いついた。

 その後、再び2点をリードされるも、日本の集中力は切れない。22−24と相手のセットポイントとなるも、ここから相手のミスを誘い、怒涛の3連続ポイントを奪い、逆転に成功した。そして26−26から、WS江畑幸子、木村と両エースがきっちりと決め、日本が五輪史上、初めて中国からセットを奪った。

 第2、第3セットも接戦となり、どちらも25−23というスコアで1セットずつを取り、セットカウントは日本の2−1で第4セットを迎えた。このセットを取れば、日本はソウル五輪以来の準決勝進出となる。しかし、アテネでは金、北京では銅と2大会連続でメダルを獲得している中国も意地を見せる。このセットもシーソーゲームとなり、23−23から恵若のスパイクが決まり、中国がセットポイントを迎えた。日本はエース木村に託すも、木村のスパイクが中国のブロックにつかまり、中国がこのセットを奪う。試合はファイナルセットへともつれこんだ。

 そのファイナルセット、序盤は日本がリードを奪う。2−3から、この試合、第1セットのスタートから起用されたWS新鍋理沙がライトからクロススパイクを決めると、続いて江畑がスパイク、さらには荒木がサーブポイントを奪い、リードする。すると、中国は早くもタイムアウトをかけた。そのタイムアウト明け、再び江畑がレフトからのスパイクを決め、日本は2点差とした。しかし、中国は好調の恵若を中心に反撃。さらに得意のセンター線からの速攻も効果的に決め、すぐさま同点に追いついた。日本は負けじと江畑にボールを集め、食らいつく。

そして、この2時間以上の激戦に終止符を打ったのは、指揮官の采配だった。16−16の場面、眞鍋政義監督は大友に代えてサーブのいいS中道瞳を投入した。指揮官の読み通り、中道のサーブは相手レシーブを崩し、ネット際に上がったボールを荒木がダイレクトで決め、日本が2度目のマッチポイントを迎えた。すると、再び中道のサーブを中国が取り損ね、高く上がったボールは日本コートのラインの外へ。ボールが上がった瞬間に勝利を確信した“火の鳥NIPPON”はコート中央で喜びを爆発させた。

 これまで5度対戦し、勝利どころか、1セットも奪うことができずにいた中国を破り、日本は24年間閉ざされていた扉を開いた。84年ロサンゼルス五輪以来、28年ぶりのメダルまで、あと1勝。“火の鳥NIPPON”の快進撃はまだ始まったばかりだ。