7日、体操男子の種目別平行棒の決勝が行われ、田中和仁(徳洲会)は15.500と0.066点差でメダルに及ばず、4位だった。また弟の田中佑典(コナミ)は15.100で8位に終わった。兄の和仁はきれいな倒立から演技を次々と決めたが、細かいミスが響き、団体に続くメダル獲得はならなかった。
 ほんのわずかな差が明暗を分けた。演技の序盤、和仁は1回ひねりで鉄棒を持ち替えた際、やや握り損ねた。その前も、その後も流れるような内容だっただけに、その一瞬のぎこちなさが余計に目立った。

 技の難度を上げることなく確実性を追求した構成ゆえに、メダルには少しのミスも許されなかった。結果、難度点は思いのほか伸びず、3位以内には届かず。しかし、着地も完璧に決め、会場からは多くの拍手を受けた。美しさでは観客を充分に魅了した。演技を終えた和仁は「もう少しというところだったが、悔いはない」とさっぱりとした表情で言い切った。

 一方、弟の佑典にとっては悔いが残る演技だった。序盤の1回ひねりのところでヒジが曲がり、鉄棒がうまく握れず、持ち直すミス。気を取り直して演技を進めたが、最後の着地も失敗し、前のめりになった。予選は15.866の高得点で1位通過しており、同じ内容であればメダルに手が届いただけにもったいなかった。
「メダルを獲れたら楽しかったと思うが、リベンジしたいという思いが沸いてきた」
 22歳は4年後のリオデジャネイロでの雪辱を誓った。

 女子の田中理恵も含めた3きょうだいでの出場で注目を集めた五輪だった。この日は、スタンドでは理恵が2人の演技を見守った。個人でメダルを手にすることはできず、「3人で活躍まではいかなかったかな」と一番下の佑典は笑う。一番上の和仁は「いい思い出ができた」と振り返る。悔しさと充実感を詰め込んで、ロンドンの夏は3人にとって忘れられない季節になった。