11日、陸上・男子400メートルリレー決勝が行なわれた。予選と同じ山県亮太(慶応大)、江里口匡史(大阪ガス)、高平慎士(富士通)、飯塚翔太(中央大)の4選手で臨んだ日本は6番目でゴール。3番目に入ったカナダが失格となり、5位となった。金メダルは100メートル、200メートルで2大会2冠に輝いたウサイン・ボルトをアンカーにしたジャマイカで、世界新記録の36秒85で花を添えた。ボルトは史上初の2大会連続3冠を達成した。銀メダルにはナショナルレコード37秒04を記録した米国、銅メダルにはカナダの失格により、繰り上がったトリニダード・トバコが入った。
 会場の全ての視線が注がれる中で行われたトラック競技最終種目の400メートルリレー。日本が史上初の銅メダルに輝いた4年前の北京五輪は記憶に新しい。当時のメンバーとしては高平のみとなったが、予選で日本記録に0秒34と迫る38秒07で2組2着、全体の4番目の好タイムで決勝進出を決めただけに、北京での再現が期待された。

 落ち着いた表情でスタートラインに立った第1走者の山県は、号砲とともに勢いよく飛び出した。だが、「少しバトンを丁寧にいきすぎた」という江里口の言葉通り、山県から第2走者の江里口へのバトンがややもたついてしまう。それでもこの時点ではメダル圏内。江里口から第3走者の高平へのバトンもスムーズにわたり、最後は第4走者の飯塚に全てが託された。

 ダンゴ状態の中、飯塚は力強い走りを見せたが、後ろからカナダ、トリニダード・トバゴに抜かれ、6番目でゴール。カナダが失格となり、5位に繰り上がったが、予選を下回る38秒35というタイムに4人に笑顔はなかった。
「また4人でここに戻ってこよう」
 そう誓い合い、スタジアムを後にした4人。世界への挑戦は今後も続く。

<やり投げ・ディーン元気、10位で終戦>

 男子やり投げ決勝では、ディーン元気(早大)が3投目を終えた時点で10位となり、4投目以降に進める上位8名に残れなかった。1投目をファールした後の2投目で79メートル95をマーク。しかし、3投目もファールとなってしまい、記録を伸ばせなかった。

「一瞬で終わってしまった」
 ディーンは競技後にこう振り返った。日本人として28年ぶりの決勝進出も、夢の舞台で投げた回数はわずか3回。記録が残ったのは1回だけだった。

 投てき順の1番目としてアナウンスされた際にはウインクで応えるなど、余裕を持って臨んだかに思われた。しかし、さすがにプレッシャーを感じていたようだ。1投目はやりが右に流れてファール。それを確認したディーンは思わず苦笑いをこぼした。

 迎えた2投目、助走からやりを放ち、前に倒れこむ。やりは大きな放物線を描いて80メートルライン付近へ突き刺さった。記録は79メートル95。この時点で3位に位置した。

 3投目直前の順位は8位。4投目以降に残るにはどうしても80メートルを超えるビッグスローが必要な場面だ。ところが、またもやりが右に逸れ、審判が赤旗をあげてファールを宣告。ディーンの記録は変わらず、その後、2人の選手に抜かれて10位に下がった。ロンドンでの挑戦はここで終わった。

「ただただ楽しんで競技ができた。世界のトップに仲間入りできたと思う」
 ディーンは笑顔でこう答えた。一気に日本のトップに躍り出た20歳には今度は世界のトップに立つ戦いが始まる。リオデジャネイロ五輪までには2度の世界陸上が控える。リオまでにどこまで成長を遂げられるか。最後に「次はもっと生まれ変わった姿を見せられれば思う」と語った若武者の投てきに今後も目が離せない。