16日、欧州遠征中の日本代表(FIFAランキング23位)が、ポーランド・ヴロツワフでブラジル代表(同13位)と対戦した。日本は前半12分、MFパウリーニョに先制点を奪われると、MFネイマールにもゴールを許してリードを広げられた。後半も失点を重ね、アルベルト・ザッケローニ監督就任後ワーストの4失点。攻撃陣も最後までブラジル守備陣をこじ開けることができなかった。日本は11月14日、オマーンとのW杯最終予選第5戦(アウェー)に臨む。

 本田、先発で復帰も不発(ヴロツワフ)
日本代表 0−4 ブラジル代表
【得点】
[ブ] パウリーニョ(12分)、ネイマール(26分、48分)、カカ(76分)
 王国との差は想像以上に大きかった。MF本田圭佑(CSKAモスクワ)は「こういうふうに大差で負けるのは予測していなかった」と悔しさを口にした。日本が決定機を生かせなかったのに対し、シンプルかつ確実なプレーでゴールを量産された。

 終始押し込まれたフランス戦から一転し、積極的な立ち上がりだった。右ふくらはぎ痛から復帰した本田、MF香川真司(マンU)、MF清武弘嗣(ニュルンベルク)が前線からボールを追い、奪ってからパスをつないでシュートまで持ち込む。前半9分、この3人がチャンスをつくった。清武が右サイドから中に切れ込み、PA手前の香川へ。ワンタッチでつながれたボールを本田が受け、PA内右で左足を振り抜く。これはGKに防がれたものの、ブラジル相手に臆することなく主導権を握ろうとした。

 ところが12分、先制点を奪われる。自陣でのミスからパウリーニョに決められた。DF内田篤人(シャルケ)がピッチ中央付近でMFオスカルにボールをカットされる。ドリブルで持ち上がられ、PA手前に送られたボールをパウリーニョに右足ダイレクトで打たれた。シュートはワンバウンドしてゴール左下に。小雨が降る中でスリッピーになっていたピッチをうまく生かされた。

 ミスから失点した嫌な流れを断ち切りたい日本だが、不運なかたちで追加点を許す。24分、DF今野泰幸(G大阪)がPA内でハンドをとられ、PKを与えてしまったのだ。今野はPA内右サイドでパスを受けたMFカカにスライディング。交錯した時にボールが腕に当たったという判定だった。これをネイマールにゴール中央へ叩き込まれ、リードを2点に広げられた。

 反撃したい日本は32分、MF長谷部誠(ヴォルフスブルク)の強烈なミドルシュートがゴール左へ。だが、GKに右手1本で防がれた。その後はポゼッションを高めてゴールに迫ったが、ブラジル守備陣の粘り強い対応になかなかシュートまで持ち込めない。結局、0−2のまま試合を折り返した。

 ザッケローニ監督は後半開始からMF乾貴士(フランクフルト)、DF酒井宏樹(ハノーバー)ら攻撃的な選手を投入。早い時間帯で1点を返そうと試みる。だが後半3分、逆に3点目を許してしまう。右CKをファーサイドで受けたネイマールが胸トラップから左足でシュート。これがDF吉田麻也(サウサンプトン)の足に当たってコースが変わり、ボールはゴールマウスへ吸い込まれた。ネイマールの高い技術に加え、角度のないところからもシュートを打つ姿勢にゴールをこじ開けられたかたちとなった。

 直後に日本もチャンスを迎える。右ショートコーナーから香川がPA内右サイドでパスを受けると、中央へスライド。コースをつくり、左足でシュートを打った。だが、ボールはわずかにゴール右へ。相手GKは反応できていなかっただけに、悔やまれる場面だった。こういった決定機を逃すと試合の流れは変えられない。31分には、ピッチ中央で吉田のパスがカットされ、カウンターを食らう。左サイドでパスを受けたカカにドリブルでPA内まで運ばれ、冷静にゴール右下に流し込まれた。日本とは対照的にわずかなミスを得点につなげる決定力の高さを見せつけられた。

 試合後、本田は「差があるとすれば、ゴール前の精度」と分析。これはシュートの精度のみならず、確実にシュートまで持ち込む技術、動き方の質を上げる必要があるということだろう。0−4という結果が現時点での世界との距離だ。W杯本大会までにその差をどこまで縮められるか。ザックジャパンに立ち止まっている時間はない。

<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
内田篤人
→酒井宏樹(45分)
吉田麻也
→栗原勇蔵(90分)
今野泰幸
長友佑都
MF
遠藤保仁
長谷部誠
→細貝萌(62分)
清武弘嗣
→宮市亮(90分)
中村憲剛
→乾貴士(45分)
香川真司
FW
本田圭佑