5、6日の2日間にわたり、東京・代々木ではスポーツと文化のコラボレーションイベント「スポーツオブハート」が開催された。同イベントは、障害の有無に関係なく「みんなが幸せになれる社会」を目指して行なわれたもので、さまざまなスポーツ教室や体験会、アーティストによるライブやショーなどが行なわれた。
(写真:初めて見る競技用車椅子「レーサー」に関心を寄せる子どもたち)
 昨年に続いて開催された「スポーツオブハート」。前回、応援団長を務めた高橋尚子(シドニー五輪金メダリスト)は今回もスペシャルサポーターとして参加。都立代々木公園陸上競技場では「高橋尚子かけっこ教室」が行なわれ、青空の下、子どもたちと一緒に“かけっこ”を楽しんだ。また、今回のイベントの実行委員会副委員長でもある車椅子ランナー廣道純や、北京パラリンピック走り幅跳び銀メダリストの山本篤、ロンドンパラリンピックで100、200メートルでファイナリストとなった高桑早生(短距離)なども参加。初めて見るパラリンピアンたちの競技用車椅子や競技用義足に子どもたちも興味深々で、選手たちの走りに大きな拍手が沸き起こっていた。

 その後、高橋と廣道はともに国立代々木競技場第一体育館で行なわれたトークショーにも参加し、パラリンピアンの秋山里奈(ロンドンパラリンピック競泳金メダリスト)や西家道代(シッティングバレー日本代表)、そして原因不明の心因性発声障害を患った過去をもつ森友嵐士(T-BOLAN)とともに、「乗り越えること」をテーマに、トークを展開。「(アテネ五輪に出場できなかった)2004年はマラソンでは一番苦しい時期だったが、周囲からあたたかい言葉をもらうなど、一番多く嬉し涙を流した年でもあった」と高橋が言えば、8年越しに(ロンドンで)金メダルを獲得した秋山は「何事も諦めないことが大事ということを改めて感じた」と実体験に基づいた熱いメッセージを来場者に送った。

(写真:子どもたちに大人気だった「ハンドバイク」)
 その後、体育館ではロンドンパラリンピックでベスト4進出を果たした日本代表メンバーによるウィルチェアラグビー体験教室が、フットサルコートでは元プロ野球選手たちによる野球教室などが行なわれた。陸上競技場で行なわれたハンドサイクル体験教室では、オートバイクのような手漕ぎ自転車「ハンドバイク」に子どもたちが大はしゃぎ。用意されたハンドバイクには行列ができ、乗り終わると「気持ち良かった!」と目を輝かせていた。

  夕方から体育館で行なわれた第2部は、和太鼓のパフォーマンス集団「DRUM TAO」による力強い演奏で開幕。前回に続いて参加した土屋アンナなどが歌声を披露する中、鈴木奈々などモデルと一緒に義足や車椅子の障害者アスリートらのファッションショーが行なわれた。さらに水前寺清子、石井竜也など有名アーティストも駆けつけ、2日間にわたるイベントのフィナーレを飾った。

 現在、東京五輪・パラリンピックの招致活動が佳境を迎える中、今回のイベントはパラリンピックへの関心をさらに深めるいい機会となったはずだ。障害の有無に関係なく、スポーツや音楽を一緒に楽しむことが日常的に行われることが、さらに日本のスポーツ文化を発展させることにもなる。
「昨年よりも、もっとみんなに楽しんでもらえていると実感することができた。課題はまだたくさんあるが、次はさらにいいイベントにしたい」と意気込む廣道。今回のような健常者と障害者、オリンピアンとパラリンピアンといった垣根を越えたイベントが継続されて行なわれていくことが望まれる。
(写真:モデルと障害者アスリートとのファッションショー)

(斎藤寿子)