12日、バレーボール女子のワールドグランドチャンピオンズカップ2013(グラチャン)が開幕。第1、2戦(12、13日)は日本ガイシホール(名古屋)で、第3〜5戦(15〜17日)は東京体育館で行なわれる。アジア、ヨーロッパ、北中米、南米の各大陸王者などが集うこの大会で、眞鍋政義監督率いる“新生・火の鳥NIPPON”は、どんな戦いを見せるのか。2016年リオデジャネイロ五輪に向け、世界における全日本女子の“今”が解き明かされる。
 五輪、ワールドカップ、世界選手権と並ぶ世界4大大会のひとつであるグラチャン。今回はアジア代表のタイ(世界ランキング12位)、ヨーロッパ代表のロシア(同6位)、北中米代表の米国(同2位)、南米代表のブラジル(同1位)、推薦国のドミニカ共和国(同8位)、そして開催国の日本((同3位)の6カ国が一堂に会し、世界の頂点を狙う。過去5回の優勝国は、第1回からキューバ、ロシア、中国、ブラジル、イタリアで、未だ2度目の優勝を達成したチームは現れていない。

 五輪の翌年に行なわれるグラチャンでは、チーム編成が途中段階にあることが多い。そのため、他の4大大会とは異なり、勝敗以上に見どころとなるのは、次の五輪に向けた戦略・選手構成だ。ロンドン五輪を終えて1年。各チームにどんな変化がもたらされているかに注目したい。

 その点において、全日本女子は現在、大きな変革期を迎えていると言っていいだろう。ロンドン五輪では竹下佳江をはじめ、大友愛、佐野優子、木村沙織と、アテネや北京から続いた財産がしっかりと残り、その上に若手の新しい力が加わるという、非常にバランスの取れたメンバー構成となっていた。まさにチームとして熟成の時を迎えていたと言っても過言ではなく、その結果として28年ぶりのメダル(銅)獲得があったことは言うまでもない。

 しかし、ロンドン後、竹下、大友が現役引退を発表した。特に五輪出場を逃したシドニーからチームを牽引してきたセッター竹下の穴は、全日本女子にとってはあまりにも大きい。竹下の後継者づくりの重要性が叫ばれる中、なかなか育たなかったのが現実である。そんな中、今回は2001年以降、竹下不在で初めて挑む4大大会となる。やはり最大の注目はセッターと言うことになるだろう。

 ワールドグランプリや世界選手権アジア最終予選では、主に若手の宮下遥を起用してきた眞鍋監督だが、今大会ではロンドン五輪を経験した中道瞳を柱に据えると予想される。ロンドン後、アキレス腱の痛みに苦しんでいた中道だが、必死のリハビリで9月下旬からチームに合流している。中道は竹下と同じ身長159センチ。これまで最も近くで竹下のプレーを見てきただけに、竹下の存在の大きさも、そして世界の高さにも屈しない強靭なメンタルとプレーのすごさも、十分にわかっている。そんな中道が、どれだけ自分の色を出し、アタッカーの力を引き出すことができるかがポイントとなる。

 眞鍋監督も「チームには絶対に必要」と、竹下不在の今、中道に大きな期待と信頼を寄せている。若手も多い中、短期間でどれだけ意思疎通が図ることができているか。眞鍋監督が「2年前から考えていた」という新戦略が成功するか否かも、セッター中道の力が必須だ。

 ロンドン後、エースの木村沙織が新キャプテンに就任し、新たな道を模索してきた全日本女子。今大会では3位となった2001年以来となる表彰台を目指すとともに、変化・成長、そして今後への期待を感じさせるゲームが求められる。