24日、「FIVB(国際バレーボール連盟)ワールドグランドチャンピオンズカップ2013」の第5戦が東京体育館で行なわれ、日本はアジア王者のイランと対戦。「アジア予選の借りを返す」と意気込んで臨んだ試合だったが、日本らしい粘りのバレーは見られず、ストレート負け。今大会は0勝5敗という結果に終わった。

日本 0−3 イラン
(17−25、18−25、14−25)
「完敗」と言っていい試合だった。レシーブ、サーブ、ブロック、トスの正確性、そしてスパイクを決めきる技術……攻守にわたって同じアジアのイランとの差は歴然としていた。

 第1セット、WSハムゼ・ザリニとWSシャフラム・マフムーディらが次々とスパイクを決め、得点を重ねていくイランに対し、日本はレセプションが悪く、単調な攻撃を繰り返し、逆に相手にチャンスを与えて失点するという展開が続いた。S今村駿のトスもアタッカー陣と合っていない場面が多く見られ、せっかくのチャンスにもスパイクがヒットしない。リズムを変えようとWS福澤達哉をWS米山裕太に、WS石島雄介をWS清水邦広に、MB山村宏太をMB横田一義にと、メンバー交代を試みたものの、最後まで流れを引き寄せられないまま、このセットを落とした。

 第2セットは序盤、WS越川優や清水のスパイクがイランのブロックにつかまるなどして連続失点し、3−9と早くも劣勢に立たされた。それでも清水、福澤のスパイク、さらには山村のサービスエースで、この試合初の3連続ポイントで追い上げる。中盤にはMB松本慶彦がイランのポイントゲッター、ザリニのスパイクをブロックするなど、チームは勢いづきつつあった。しかし、大事なところでサーブやスパイクをミスするなどして、逆に相手に得点を与えてしまう。イランのセットポイントを迎えると、石島のサーブがネットにかかり、このセットも奪うことができなかった。

 第3セットは途中、日本のブロックが立て続けに決まる場面も見られたものの、イランの勢いを止めるまでには至らず、徐々に点差が開いていった。最後は4連続失点。相手のサービスエースで終止符が打たれ、わずか1時間19分でストレート負け。日本にとってはあまりにも1勝が遠く、世界のトップとの差をまざまざと見せ付けられた大会となった。

「ロンドン五輪の最終予選で負けた時と比べて、世界との差は広がってしまったと感じている」
 試合後、記者会見に臨んだ選手たちは皆、そう語った。

「日本は身長が高くないのに、レシーブに問題がある。それが一番私には理解できない」
 イランを率いる名将ジュリオ・ベラスコ監督の言葉は、見事に現在の日本の課題をあらわしていた。そして、同じように感じていたのが守備のいい米山だった。
「サーブとサーブレシーブに世界との差を大きく感じた。ブロックやスパイクという高さの部分では世界に追いつくのは難しい。しかし、サーブやサーブレシーブは練習次第で追いつける。そうしなければ、勝負にならない」

 これまで守備力を武器としてきた日本だったが、今大会では特にサーブレシーブはパワーも高さも上回る世界のチームの方が確実にうまかった。そのことが攻撃力の面にも差を生み出したことは言を俟たない。「スマートバレー」を掲げる“新生・龍神NIPPON”だが、これまで築いてきた日本の良さを失ってはレベルアップにはつながらない。

 今後は、これまでできなかったVリーグや大学の試合を視察し、新しい力を発掘していくと語ったゲーリー佐藤監督。来シーズンはメンバーがガラリと変わる可能性をにおわせた。果たして、結果を残すことができなかった今シーズンを、どう生かしていくのか。2年目の来シーズンは、新監督の手腕が問われることになる。

(文/斎藤寿子)