27日、スピードスケートのソチ五輪日本代表選考会が長野・エムウェーブで開幕した。女子1500メートルは、39歳のベテラン・田畑真紀(ダイチ)が1分59秒05で優勝。4大会連続5度目の五輪出場を確実なものとした。2位には9月の全日本距離別選手権で同種目を制した菊池彩花(富士急行)、3位には押切美佐紀(富士急行)が入り、いずれも初の五輪へと前進した。バンクーバー五輪に出場した高木美帆(日本体育大)は5位、小平奈緒(相澤病院)は6位と振るわなかった。男子1500メートルは、中村奨太(ロジネットジャパン)が1分49秒02でトップになるも、日本スケート連盟が設定した派遣標準記録には届かなかった。一方、2位の近藤太郎(専修大)は既に標準記録をクリアしていたため、選出濃厚と見られている。女子1500メートルの五輪出場枠は4つ、男子1500メートルは1つのみ。五輪代表は29日の大会終了後に正式決定する。
(写真:大会初日から好スタートを切った田畑)
 女子1500メートルを制し、5度目の五輪へとグッと近づいた田畑だったが、「情けない」と表情は晴れなかった。

 滑り出しは良かったが、100メートルを超えたあたりで「大事にいきすぎた」と、カーブの入口付近でブレーキをかけてしまった。結局、出だしの300メートルは26秒33。これが響き、合計タイムは1分59秒05と自らが設定した目標にも1秒以上も及ばなかった。田畑は「これでは世界と勝負にならない」と反省した。

「何度経験しても同じ。楽になることはない」。田畑は、リレハンメル、ソルトレイクシティ、トリノ、バンクーバーの4大会に出場している。これまで何度も代表選考会に挑み、切符を掴んできた田畑でさえ、このプレッシャーは慣れないという。

 それでも「硬くはなっていたけど、冷静だった」と、きっちり勝利収めるところは流石である。ダイチの羽田雅樹監督も「絶対に獲らないいけないところで獲る。これがベテランの巧さなのかなと思う」と愛弟子を評価した。若手の台頭が目立つこの種目だが、日本記録保持者が意地を見せたかたちとなった。

 田畑が39歳での五輪出場を果たせば、スピードスケート日本代表では歴代最年長となる。「同世代の方々にもまだまだ頑張れると伝えたい」と抱負を語った。「自分が強いとは思っていない。世界と比べればまだまだ。もっともっと強くなりたい」。齢を重ねても、彼女の向上心は衰えを知らない。

 結果は次の通り。

<女子1500メートル>
1位 田畑真紀(ダイチ) 1分59秒05
2位 菊池彩花(富士急行) 1分59秒39
3位 押切美佐紀(富士急行) 1分59秒67
(写真:五輪出場が濃厚になった今大会の表彰台組<左から菊池、田畑、押切>)

<男子1500メートル>
1位 中村奨太(ロジネットジャパン) 1分49秒02
2位 近藤太郎(専修大) 1分49秒27
3位 大和田真(北翔大) 1分49秒39

(文・写真/杉浦泰介)