9日(現地時間)、女子アイスホッケー予選が行われ、B組の日本代表(IIHF世界ランキング10位)とスウェーデン代表(同6位)が対戦した。日本は格上相手に耐える時間が続くと、第1ピリオドの12分38秒に先制を許す。その後はピンチを凌ぎながら、反撃を試みるもゴールを奪うことはできず、初戦を0対1で落とした。黒星スタートとなった日本は11日にロシア代表(同4位)、13日にドイツ代表(同7位)に挑み、決勝トーナメント進出の可能性にかける。メダルが期待されたフィギュア団体は男女フリーに町田樹、鈴木明子、アイスダンスフリーにキャシー・リード、クリス・リード組が出場。しかし、得点が伸びず、国別順位で5位に終わった。同種目初代金メダルは地元ロシアが獲得した。スピードスケートの女子3000メートルはトリノ五輪同種目金メダリストのイレイン・ブスト(オランダ)が2大会ぶりに優勝。日本勢は石澤志穂(トランシス)が9位、藤村祥子(宝来中央歯科)が15位、穂積雅子(ダイチ)が21位だった。ジャンプ・男子ノーマルヒル決勝では、日本選手団主将・葛西紀明が8位に入賞した。
 五輪初勝利は遠かった。自国開催の長野五輪以来、16年ぶりの出場となった日本代表「スマイルジャパン」。ソルトレイクシティ五輪銅メダル、トリノ五輪銀メダルの強豪国挑んだ。チャンスは作るものの、決めることができず完封負けした。

 日本は相手との競り合いに苦戦し、1対1の場面やルーズボールの奪い合いに敗れ、劣勢を強いられる。ともに相手の一時退場による1人多いパワープレーのチャンスを生かせず時計の針は進んでいく。すると12分38秒に試合が動く。

 守備の要であるDF床亜矢可(SEIBUプリンセスラビッツ)のマイナーペナルティにより、キルプレー直後だった。スウェーデンはDFエマ・エリアッソンのロングシュートをゴール前にいたFWジェニー・アッシャーホルトがスティックを当てて、コースを変える。シュートに備え、ニアポストに構えていたGK藤本那菜(ボルテックス札幌)が右足を伸ばしたが、間に合わずパックはゴールネットを揺らした。

 第2ピリオドに入っても、スウェーデンの圧力に負け何度かピンチを招く。ここは藤本を中心に凌いだ。守備神の踏ん張りにキャプテンが奮起する。14分16秒には、パワープレーのチャンスにFW大澤ちほ(三星ダイトーペリグリン)がミドルシュートを放ち、15分46秒には味方のシュートのコースを変えて、ゴールを狙う。いずれも相手GKに阻まれたが、日本の得点を予感させるものとなった。

 ピリオドの残り2分30秒を切ったころ、決定的なチャンスが訪れる。FW久保英恵(SEIBUプリンセスラビッツ)が右サイドの高い位置でパックを奪い、カウンターを仕掛ける。縦に切り込み、ゴール前で待つ大澤にパス。パックを受けた大澤のゴール右に狙いすましてシュートは惜しくもポストを弾く。こぼれ球を拾った久保が再び、大澤に預ける。しかし、大澤が狙ったシュートは相手GKにセーブされ、同点ゴールとはならなかった。

 日本は第3ピリオドにも久保が決定的なチャンスを決めきれなかった。試合終盤にGKを下げての“6人攻撃”も実らず、今大会初ゴールもおあずけのまま、試合終了のブザーを聞いた。日本代表の飯塚祐司監督が「スウェーデンとドイツには60分勝ちしないと、上に行くのは難しい」と語っていただけに、決勝トーナメント進出に向けて痛い1敗だ。次戦は同組で最も手強いロシア。地元の声援を受け、スウェーデン以上に日本を攻めたててくるだろう。窮地に追い込まれたスマイルジャパン、逆境を乗り越えて五輪切符を掴んだ奇蹟の再現をソチでも見せたい。

 日本、メダルに届かず 〜フィギュア団体〜

 ペアのフリー終了時点で日本は5位で、3位・米国までは4点差があった。メダル獲得には男女フリーでどこまで得点を伸ばせるかがポイントだった。

 男子フリーの町田は、「火の鳥」(ストラヴィンスキー)の曲に乗って演技した。冒頭の冒頭の4回転トーループを見事に成功。次に予定していた4回転が3回転トーループになったが、つづくトリプルアクセル、ダブルトーループのコンビネーションは完璧に決めてみせた。体を大きく使い、後半も安定した演技を披露した。

 得点は165.85点。3位という順位に町田は「本気で1位を狙っていたので悔しい」と率直な気持ちを述べた。だが、国別順位で4位に浮上し、3位の米国とは3点差に迫った。

 鈴木は3番手で女子フリーに登場した。曲目は「オペラ座の怪人」。冒頭の3連続コンビネーションジャンプを成功させると、続くダブルアクセル、ダブルトーループもしっかりと着氷した。後半の3回転ループで少し着氷が乱れたものの、しなやかなに4分間を滑り切った。
 しかし、本人が「クリーンなジャンプがなかった」と課題を語ったように、得点は112.33点と伸び悩んだ。日本は国別順位で3位と5点差の5位に下がり、事実上、メダル獲得の可能性がなくなった。

 アイスダンスのキャシー・リード、クリス・リード組は、大きなミスなく終えたものの、76.34点で5位。国別の最終順位で、日本は5位となった。

 結果は残念であったものの、選手は後の個人戦に向けて気持ちを切り替えなくてはいけない。町田が「個人戦はメダルを取りにきているし、その意識は強い」と語れば、鈴木も「この雰囲気で滑れたことをプラスに捉えたい」と前を向いた。団体で逃したメダルを、個人戦で掴み取れるか。

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