12日、ノルディックスキー複合個人ノーマルヒルが行われ、渡部暁斗が銀メダルを獲得した。同種目でのメダルは94年リレハンメル大会で河野孝典が2位に入って以来20年ぶり。前半のジャンプで100.5メートルを飛んで2位(130点)につけた渡部は、後半のクロスカントリー(10キロ)でジャンプ1位のエリック・フレンツェル(ドイツ)とデッドヒートを展開する。だが、残り1キロで惜しくも逃げ切られ、3秒8差で銀メダルとなった。他の日本勢は渡部善斗が15位(ジャンプ10位)、永井秀昭が22位(同14位)、加藤大平が31位(同4位)だった。
 複合ニッポンが復活ののろしをあげた。
「すごく満足している。自分の実力は出し切れた」
 3度目の五輪で初の表彰台に立った25歳は晴れやかな表情を見せた。

 複合はかつて日本が団体で92年アルベールビル、94年リレハンメルと2大会連続で金メダルを獲った種目ながら、以降はルール改正もあって低迷。そんな中で日本のエースとして着実に力をつけてきたのが渡部だ。

 従来、日本人の戦い方は前半のジャンプで貯金をつくり、後半のクロスカントリーで逃げ切るパターンが主だったが、渡部はジャンプ、クロスカントリーともに上位に入るバランスの良さが強みだ。今季、W杯で5度、表彰台を経験し、総合2位につけている。

 ノルディック複合はジャンプとクロスカントリーを合わせた成績で順位を争う。クロスカントリーではジャンプの成績に基づき、2位以下の選手は、トップと1点ごとに4秒差でスタートする。

 ジャンプで45番目に登場した渡部は、姿勢の低い滑り出しから、タイミングよくテイクオフ。スキー板が上がらない伸びやかな飛型で、テレマークもしっかり決めた。飛距離は100.5メートル、得点は130点。トップに立ち、2位とは21秒差をつけた。

 しかし、続くフレンツェルが103メートルを飛び、131.5点で後半トップスタートの権利を手にした。フレンツェルは昨季W杯王者。今季も7勝を挙げている実力の高さを示した。

 トップを明け渡した渡部暁だが、その差はわずかに6秒。スプリント力に定評のある彼なら、あってないような差といっても過言ではなかった。逆にジャンプ3位のエブゲニー・クリモフ(ロシア)とは21秒差をつけ、メダル獲得には大きなアドバンテージを得た。

 そして迎えたクロスカントリー。1周2.5キロのコースを4周回する。風の影響を避けるため、フレンツェルは渡部と2人でグループを形成して後続を引き離しにかかる。渡部は「僕のスキーの方が滑っていた」と頻繁に先頭に立ち、レースを引っ張ると、一時は3位以下に30秒以上の大差をつけた。

 3位以下の集団も猛烈に追い上げをみせ、差は徐々に縮まったものの、残り1周(2.5キロ)の時点でも、フレンツェルと渡部がリードする展開は変わらない。後続とは10秒以上の差があり、金メダル争いは2人に絞られた。

 ここで「金メダルを狙って勝負をしかけた」と渡部がトップに立って残りは1キロ。だが、スタジアムに入る直前、今度はフレンツェルがスパートをかけ、先頭に立つ。渡部はヘアピンカーブが続くスタジアム内での再逆転を狙ったが、追いつけず、2位でフィニッシュした。

 最終的には今季もW杯総合成績でトップに立つ王者の前に屈したが、「日本チームとしても大きいメダル」と渡部は語る。18日には個人ラージヒル、20日はラージヒル団体が控えており、弾みがついたことは間違いない。

「まだまだこれから。ラージヒルでは今度こそ金メダルを獲って1番上の表彰台に乗りたい。みんな、いいジャンプをしている。団体戦でもチャンスはある」
 残り2種目でも輝くメダルを手にし、複合ニッポンの復活を世界に印象づける。

 地元ロシアを下し、連勝 〜カーリング女子〜
 
 カーリング女子の1次リーグ第3戦、日本はロシアと対戦して8ー4で勝利し、成績を2勝1敗とした。日本は世界ランキングで上回るホスト国(ロシア8位、日本9位)を相手に第2エンドに2点を先制すると、2−2の同点で迎えた第5エンドからは連続で得点を重ねてリードを奪う。第8エンドに2点を返されて1点差に迫られたものの、第9、第10エンドで再び突き放し、連勝を収めた。

 完全アウェーの中でも落ち着いて勝利をモノにした。
 日本は3−2と1点リードの第6エンド、ロシアの最後の1投が届かないミスでスチールに成功。第7エンドも連続スチールで5−2とリードを広げ、主導権を握る。

 しかし、流れが変わりかけたのは第8エンドだ。ロシアのストーンがNo.1の位置にある中、スキップ小笠原歩が最終投でこれを弾き出しにかかる。ところが、ストーンが当たらず、通過してしまうミスショット。ロシアが最終投でNo.2も確保し、2点を奪われる。これで4−5。残り2エンドでの逆転を期待して会場は大いに沸いた。

 日本が後攻の9エンド、ロシアがガードをつくり、相手スキップが、その裏にストーンを置く。スキップ小笠原の最終投、再びミスをすれば、ロシアに1点が入り、同点に追いつかれる状況だった。

 しかし、3度目の五輪となるベテランは失敗は繰り返さない。着実にロシアのNo.1ストーンをはじき出して、1点を追加。6−4として再びペースを取り戻した。

 最終10エンドもハウス内に互いのストーンを入れ合う中、小笠原が最終投とNo.1とNo.2の位置を確保。このエンドで2点を取らないと追いつけないロシアは、最終投で手前のガードをはじいて一気に日本のストーンを外に出そうと試みるも、うまく当たらない。結局、さらに日本が2点を追加し、白星を手にした。

 岡田、日本勢過去最高の5位 〜スノーボード女子ハーフパイプ〜

 スノーボード女子ハーフパイプでは岡田良菜が85.50をマークして5位に入った。これまで同種目の日本勢は02年ソルトレイクシティ大会、三宅陽子の8位が最高で、これを上回る好成績となった。

 前日は男子ハーフパイプで一気に2個のメダルを獲得した日本スノーボード界が女子でも新たな歴史をつくった。
 岡田は予選では組7位で準決勝に進出。上位6名が決勝に進む準決勝では突破ギリギリの6位でファイナル出場を決めた。

 予選を上位で通過した6名と、準決勝で勝ち上がった6名の計12名で争われた決勝では、岡田はトップバッターとしてスタートした。前回のバンクーバー大会では予選落ちだった23歳は、持ち味の高さを武器にバックサイドエアを皮切りに、900、540、700などを次々と決める。

 高得点が期待されたものの、最後の着地に失敗して尻もち。大幅な減点を余儀なくされる。結局、47.75点で11位にとどまった。

 泣いても笑っても残り1本。予選、準決勝と2本ずつを滑った岡田は、決勝の2本目が実にこの日6本目の滑走となる。上位進出へ大技を繰り出して転倒する選手も続出した中、岡田は疲れも見せず、最後に最高の演技をしてみせる。

 2本目はフロントサイドエアから入って、900、540、700と順調に技を決めていく。1本目は失敗した着地も、2本目はややバランスを崩しながらも持ちこたえ、最後は700で締めくくった。本人も会心の出来に両手をあげてガッツポーズ。得点は85.50を記録し、この時点で3位に躍り出た。

 その後も岡田の記録を上回る選手はなかなか現れず、残り2人の段階まで3位をキープ。結果的にはバンクーバー金メダリストのトラ・ブライト(オーストラリア)、ソルトレイクシティ金メダリストのケリー・クラーク(米国)が90点以上の得点をたたき出したため、5位に後退したが、持てる力を出し切っての健闘だった。

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