19日、スノーボード女子パラレル大回転が行われ、竹内智香が銀メダルを獲得した。同種目でのメダルは日本人初の快挙。予選を1位で突破した竹内は、2選手で争う決勝トーナメント1回戦、準々決勝を危なげなく突破。準決勝も1本目でリードを奪うと、2本目は相手が途中で転倒したこともあり、余裕を持って決勝進出を決めた。決勝ではパトリシア・クマー(スイス)と対決。竹内は1本目で0秒30のリードをつくった。しかし、2本目でクマーに追い上げを許すと、終盤で転倒し、逆転を許した。今大会、日本の女子初のメダルを獲得した竹内は、22日に新種目・女子パラレル回転にも出場する。
 競技後のフラワーセレモニーで、竹内に笑顔の花が咲いた。ソルトレークシティ五輪から4度目の五輪。22位(ソルトレーク)、9位(トリノ)、13位(バンクーバー)と入賞すら果たせなかったが、ソチで悲願の表彰台に上った。

 タイムトライアルの予選では2本滑って1分46秒33でトップ。“アルペン界の女王”クマーを抑えた。
 決勝トーナメントからは2選手が争うかたち。2本目は青コースと赤コースが入れ替わり、1本目のタイム差をつけてスタートする。1回戦で竹内は1本目で1秒07のリードを奪った。2本目も的確なコーナーリングで差を広げ、結果的に1秒93差を着ける余裕の滑りで準々決勝進出を決めた。準々決勝も1本目で先着した竹内は、2本目で相手が転倒する中、確実にフィニッシュ。危なげなくベスト4へ駒を進めた。

 勝てばメダルが確定する準決勝は、予選13位のアイナ・メシク(オーストリア)と対決した。1本目は中盤まで互角の展開だったが、ここからメシクにミスが出始める。逆に竹内は堅実な滑りで差を広げ、1秒01のリードを奪った。2本目では、メシクが差を縮めようと攻めの滑りを見せるが、中盤で転倒。竹内はきっちりとフィニッシュラインを通過し、スノーボードで日本人女子初のメダルを確定させた。

 決勝で戦うクマーは今季の同種目世界ランキング1位で竹内は同2位。といっても、ポイントは同じで、五輪決勝はどちらが上なのかを決するまさに頂上決戦となった。

 1本目、レースは互いに譲らないデッドヒートとなった。中盤まではほとんど差が生まれなかったが、竹内が終盤に抜け出して先着。しかし、その差は0秒30と、まだまだ勝負の行方がわからないまま、2本目に突入した。竹内はわずかなリードを生かし、落ち着いた滑りでレースを展開していった。クマーも無理なコーナーリングは避け、竹内を追走した。

 レースが動いたのは中盤を過ぎたあたり。クマーが鋭いコーナリングでスパートかけた。逃げていた竹内だが、徐々に差を縮められると、焦りが出たのかバランスを崩して転倒。ライバル対決を制し、金メダルを手にすることはできなかった。

「(クマーには)W杯と同じような負け方をしてしまった。その辺で成長が足りなかった」
 竹内は表情に悔しさを滲ませながら、決勝レースを振り返った。しかし、スノーボードで日本人女子初のメダルという快挙に変わりはない。プレ五輪ではコースに不安を感じていたというが、この日は抜群の相性を見せた。これについて竹内は「雪が硬くていいコンディションだった。五輪が味方してくれたのかな」と笑顔を見せた。

「ソチ五輪で結果を残し、少しでも日本での認知度を上げたい。それが次の世代に繋がっていけばいい」
 五輪前、竹内はこう語っていた。第一人者として同競技を引っ張る自負を持って臨んだ4度目の五輪。竹内が残した結果は、日本のスノーボード界に光を当てる大きな一歩となるに違いない。

▼4度目の五輪でついにメダルを獲得した竹内選手。これまでの軌跡とは……。
「ソチに煌めく!」(前編)
「ソチに煌めく!」(後編)


 日本勢出遅れる 〜フィギュアスケート女子SP〜

 フィギュアスケート女子シングルショートプログラム(SP)は、バンクーバー五輪金メダリストのキム・ヨナ(韓国)が74.92点の高得点でトップに立った。2位には地元ロシアのアデリナ・ソトニコワ(ロシア)、3位には世界ランキング1位のカロリーナ・コストナー(イタリア)が続いた。日本勢はいずれもジャンプのミスが響き、SPで出遅れた。鈴木明子(邦和スポーツランド)の8位が最高で、村上佳菜子(中京大)は55.60点で15位、浅田真央(中京大)は55.51点で16位。団体戦ロシア金メダルの立役者となったユリア・リプニツカヤは5位だった。フリーは翌20日に行われる。

「自分でも終わってみて、まだ何も分からない」。瞳を潤ませながら浅田は言葉少なにミックスゾーンを後にした。

 涙のバンクーバー五輪から4年、今シーズン限りの引退を表明している浅田は最後の五輪の舞台に立った。最終組最終滑走という“大トリ”を務める重圧がのしかかった。加えて、前走のソトニコワがノーミスの演技で地元の大観衆を沸かせた。74.64点の高得点を叩き出し、その余韻を残したまま、浅田は演技をスタートした。

 悲劇は早々に起こった。大きく息を吐き、「ノクターン」の曲に合わせ、優雅に滑り始めた浅田。最初のジャンプは彼女の代名詞とも言えるトリプルアクセルだった。6分間練習でも成功していた大技だったが、ここでまさかの失敗。いきなり転倒してしまった。

 今シーズンはISUグランプリ(GP)シリーズで2勝し、GPファイナルも制覇した。ただ、予兆がないわけではなかった。12月の全日本選手権のフリーとソチ五輪団体戦でのSPでは序盤のトリプルアクセルに失敗していた。とはいえ、ここからが踏ん張りどころだった。しかし続くトリプルフリップは回転不足と判定された。

 そしてトリプルループ+ダブルループのコンビネーションジャンプが1つになり、さらには回転不足。得意のジャンプで致命的なミスが相次いだ。演技を終え、掲示されたスコアは55.51点。16位と大幅に出遅れ、トップのキム・ヨナからは20点近く離された。バンクーバー五輪では精神的な脆さが顔を覗かせたが、今大会でも結果的にプレッシャーを跳ね返すことはできなかった。

「明日は自分の演技をできるようにしたい」と語った浅田。悲願の金メダルどころか、表彰台すら厳しい状況だ。集大成の舞台に位置付けていたソチでトリプルアクセルを決め、彼女らしい笑顔でリンクを後にして欲しい。

 一方、ライバルのキム・ヨナは盤石の強さを見せつけた。リンクに降りる前は「少し不安だった」と表情は若干硬かった。それでも冒頭のトリプルルッツ、トリプルトーループのコンビネーションジャンプを成功すると、徐々に緊張が解けていくようにノビノビと滑っていた。その後もソツのない安定した演技を披露した。滑り終えた瞬間はホッと胸をなで下ろした様子。バンクーバーは本人が「若かった」と振り返るように勢いで攻めれた分もあったのだろう。女王となった今は、重責を背負っている。それに潰されることなく74.92点の高得点をマークした。技術点は39.03点のハイスコア。連覇へ向けて、好発進となった。

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