21日(現地時間)、スピードスケートの女子チームパシュート準々決勝が行われ、前回のバンクーバー五輪で銀メダルの日本は、韓国と対戦した。高木菜那(日本電産サンキョー)、押切美佐紀(富士急行)、田畑真紀(ダイチ)の編成で臨んだ日本。序盤からリードを奪う、徐々にその差を広げる。ラスト1周で迫られたが、1秒29差で先着した。日本は3大会連続の準決勝進出。22日の準決勝は今シーズンW杯ランキング1位のオランダと対戦する。
 危なげなく初戦を突破し、2大会連続の表彰台へ向け、好スタートを切った。

 2006年のトリノ五輪から正式種目として採用されたチームパシュートは、ソチ五輪で3回目の開催となる。日本のここ2大会の成績は4位、2位と結果を残している。今シーズンのW杯ランキングでも4位につけており、今大会でのメダルも十分に狙える実力を持っている。初戦となる準々決勝はバンクーバー五輪と同じ対戦相手の韓国となった。

 チームパシュートは1チーム3人の集団となり、1周400メートルのリンクを6周する。合計2400メートルのタイムを対戦形式で競う種目だ。1周ごとに先頭で引っ張る選手が入れ替わる。日本は前回の銀メダルメンバーから田畑は残ったが、短距離型の小平奈緒(相澤病院)、長距離型の穂積雅子(ダイチ)ではなく1500メートルを得意とする中距離型の編成を組んだ。

 まずは初出場の21歳・高木が1周目を引っ張った。32秒95のラップを刻み、韓国とは1秒近い差をつけて、次の押切につないだ。高木と同い年で初出場の押切は、ペースを上げ28秒53で回り差を広げた。チーム最年長で5度目の五輪を経験している田畑が落ち着いたレース運びで、その差は1秒92となった。

 2回目のローテーションでも、高木と押切が引っ張るかたちで3秒の差をつけた。ラスト1周は後半型の韓国の猛追を受けたものの、日本が先にフィニッシュ。3分3秒99で、相手に1秒29差をつけての勝利だった。

 3大会連続の準決勝進出で、メダルへ王手となった。ただ、次の対戦相手は今シーズンW杯ランキング1位のオランダ。ここまでソチのリンクを席巻しているスケート強豪国だ。オランダはスピードスケート種目で男女合わせて21個のメダルを獲得し、4度も表彰台を独占しているのだ。チームパシュートも今季W杯3戦全勝の強豪は準々決勝で五輪新をマークし、3秒60差の圧勝。付け入る隙は見当たらない。2対か連続のメダル獲得へ、準決勝で最大の障壁が立ち塞がる。


 日本勢、4大会連続のメダルなし 〜ショートトラック〜

 スピードスケートのショートトラック種目では最終日が行われ、男子500メートルでビクトル・アン(ロシア)が優勝した。アンは今大会3冠、計4個目のメダル。日本の坂下里士(トヨタ自動車)は準決勝敗退だった。女子1000メートルはパク・スンヒ(韓国)が制した。酒井裕唯(日本再生推進機構)は準々決勝で4位に終わり、準決勝進出を逃した。日本勢は女子3000メートルリレーで入賞したのみ。4大会連続でメダルなしとなった。

 長野五輪以来のメダルを目指した日本だったが、ソチを復活の舞台にすることはできなかった。この日行われた男子500メートル、女子1000メートルでは決勝進出ならず。厳しい現実を突き付けられたかたちとなった。

 男子500メートルに出場した坂下は前日の予選を2位通過していた。そして迎えた準々決勝はまずまずのスタートだった。2組に登場し、序盤は3位につけ、上位を窺った。しかし、残り3周となり、仕掛けようとしたところで前を行く韓国選手のブレードと接触。坂下はそのままバランスを崩し、転倒した。レースに復帰した坂下だったが、トップとは1周以上離されて4位でゴールした。レース後の判定で審判は、その韓国選手に失格処分を下した。坂下は反則を受けたということで、救済措置が取られ、準決勝進出を果たした。

 準決勝進出では大外の5コースとなり、スタート重視の500メートルにおいては不利な状況に置かれた。スタートダッシュにかけたが、1回のフライングもあってか、序盤からいい位置につけることはできなかった。最後尾から逆転を狙ったが、差をつめるどころか最後は離された。そのまま5位でフィニッシュし、準決勝敗退に終わった。レース後、坂下は「金メダルが求めらる中で責務を果たせなかった」と目を潤ませた。

 一方の女子は酒井が1000メートル準々決勝に登場した。2シーズン前のW杯同種目総合女王に輝いた実績を持ち、エースと期待されていた酒井だったが、ここ2シーズンはなかなか目立った成績を残せずにいた。メダル獲得を目標にしていたリレーでは入賞を果たしたものの、5位だった。個人種目も500メートル、1500メートルと予選敗退。この種目へ懸ける思いは強かったはずだ。

「自分の思い描いたレース」。前日に行われた予選は集団を引っ張り、主導権を握った。五輪新を出したバレリー・マルタイス(カナダ)には先着を許したものの、2位で予選を突破した。

 準々決勝ではマルタイスと再び同組に。レースはマルタイスが出足から飛び出すと、先頭で最後まで逃げ切った。マルタイスを追い掛けた酒井は、最終コーナーの前でオランダのヨリエン・テルモルスにスッと前に入られた。180センチを超える長身で長い手足のテルモルスに前方を塞がれた酒井は、バランスを崩し、4位でゴールした。「もうちょっと戦いたかった」と振り返った酒井だったが、準決勝に進めなかった。

 今大会、ショートトラックの日本勢は、入賞1つだけだった。個人種目全6種目で、予選をクリアできたのは男子500メートルの坂下、女子1000メートルの酒井の2度のみ。惨敗と言っていいだろう。スタートから遅れをとるなど、消極的なレース展開も目立った。かつての栄光を取り戻すためにも、次の平昌五輪に向け、抜本的な改革が求められる。

 その他の国では、この種目を“お家芸”としていた韓国の不振が目立った。今大会5個のメダルを獲得したものの、男子の4種目では表彰台ゼロ。計10個のトリノ五輪、計8個のバンクーバー五輪と、メダルを独占してきた王国に陰りが見えてきた。その一方で地元ロシアの躍進が目立った。金メダルの獲得数はトップ。その3つの金メダルを手にしたのがアンだ。出場した全4種目でメダルを獲得したヒーローは、韓国から国籍変更した選手とは、大いなる皮肉だった。

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