世界柔道選手権が25日、ロシアのチェリャビンスクで開幕し、女子48キロ級では19歳の近藤亜美(三井住友海上)が初出場で優勝し、日本女子に2大会ぶりの金メダルをもたらせた。男子60キロ級では前回覇者の高藤直寿(東海大)が準決勝で不可解な判定に泣いて敗れ、銅メダルだった。
 谷亮子、福見友子、浅見八瑠奈と日本人が世界を制してきた階級にニューヒロインが現れた。
 近藤は吉田秀彦や谷本歩実らを輩出した大石道場出身。昨年のグランドスラム東京で優勝し、一躍、国際舞台に名乗りをあげた。

 この日のヤマ場は3回戦、前回覇者のムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)との一戦だ。大外刈りで有効を奪うと、相手の反撃をしのぎ、優勢勝ちを収める。

 この勝利で波に乗った19歳は、準々決勝、準決勝をともに一本勝ち。決勝では北京五輪銅メダリストのパウラ・パレート(アルゼンチン)に得意の払い腰で何度も畳に倒し、主導権を奪う。技のポイントこそ奪えなかったものの、パレートには指導が2つ与えられ、試合が終了。光り輝く金メダルに若き新女王の笑顔がはじけた。

 一方、悔しい銅メダルとなったのが、前回優勝の男子60キロ級の高藤だ。準決勝は地元ロシアのベスラン・ムドラノフとの対決。肩車で先に有効を奪われて迎えた1分30秒、高藤スペシャルが炸裂する。豪快な大腰で相手を横倒しにして、主審の判定は技有。しかし、ジュリーから有効に格下げされてしまう。

 ならばと、3分30秒で相手の投げを切り返して尻もちをつかせ、主審の判定は有効。ところが、またもジュリーがこれを取り消し、ポイントでリードを奪えない。しかも直後に、場外に出た行為で指導をとられ、これが響いて連覇の道を絶たれた。度を過ぎたホームタウンディシジョンと言えるジャッジに高藤は両手を広げ、納得いかない表情。男子代表の井上康生監督の抗議も認められなかった。