世界柔道選手権が29日、ロシアのチェリャビンスクで5日目を迎え、女子70キロ級では父がガーナ人のヌンイラ華蓮(了徳寺学園職)が、決勝で前回覇者のユリ・アルベアル(コロンビア)に一本負けを喫したものの、銀メダルを獲得した。女子78キロ級の佐藤瑠香(コマツ)は3回戦で敗れた。男子90キロ級のベイカー茉秋(東海大)は2回戦で一本負けした。
 世界大会での実績はほとんどなし。初戦から先にポイントをとられる苦しい試合が続きながら、23歳のヌンイラが決勝まで勝ち進んだ。

 ガーナ人の血を引くパワーが最大の武器だ。準々決勝では格上のケリタ・ズパンチッチ(カナダ)に対し、技をかけてきたところを浴びせ倒して技有を獲得。優勢勝ちを収めた。

 準決勝ではバルバラ・ マティッチ(クロアチア)を2分過ぎ、足を掛けて横倒しにして有効を奪う。さらにグイッと相手の右腕をつかみ、腕ひしぎ十字固めに持ち込んだ。マティッチはたまらずギブアップ。世界柔道の同階級では日本勢11年ぶりの決勝進出を果たした。

 決勝で顔を合わせたのはロンドン五輪銅メダルのアルベアル。日本のミキハウスに所属して早川憲幸コーチが指導しており、世界柔道を2度制した実力者だ。足を飛ばして積極的に攻めたが、一瞬のスキをつかれ、小内刈りで一本をとられた。

 同階級ではアテネ、北京と五輪を連覇した上野雅恵以降、世界の頂点に立つ選手が出てきていない。環太平洋大ではバルセロナ五輪金メダリストの古賀稔彦総監督の指導を受け、心技体を磨いた。2年後のリオデジャネイロでの金メダルへ伸びしろは十分だ。