22日、第80回選抜高校野球大会が開幕する。今年は記念大会のため、例年より4校多い36校が出場。第1期改修工事が終了した阪神甲子園球場で13日間、紫紺の優勝旗をかけた戦いが行なわれる。
 今大会、優勝候補ナンバーワンに挙げられているのが昨春、初優勝に輝き、1981年、82年のPL学園(大阪)以来、26年ぶりの春連覇を狙う常葉菊川(静岡)だ。左腕・戸狩聡希(3年)は昨年、春夏と甲子園のマウンドを経験し、安定感は抜群。また打線も出場校一の本塁打数を誇る。昨秋の明治神宮大会でも優勝し、新チーム結成後は公式戦全勝とチーム力では群を抜いている。

 その常葉菊川にと同じゾーンに入った明治神宮大会準優勝の横浜も優勝候補に挙げられる。特に高校通算16本塁打、県大会、関東大会あわせて10試合で17打点をマークした3番・筒香嘉智(2年)、新チーム結成後の公式戦でチーム一の3本塁打を放った主将で4番の小川健太(3年)、エースながら高校通算22本塁打と打撃でも主戦を担う土屋健二(3年)とパワーヒッターがズラリと並ぶクリーンアップは破壊力満点だ。

 横浜が順当に勝ち上がれば、準々決勝で早くも常葉菊川と対戦する。明治神宮大会では1点差に涙をのんだが、ほとんど戦力差はないだけに、事実上の決勝戦といったレベルの高い試合が期待できそうだ。対戦が実現すれば、左打者がスタメンのうち7人並ぶ横浜打線が、左の戸狩をどう攻略するかが勝敗のカギを握る。

 また、東洋大姫路の佐藤翔太(3年)は今大会ナンバーワン投手の呼び声高い。近畿大会では全4試合に完投し、2試合を完封勝ち。公式戦14試合で完投は12試合(うち5試合で完封)とスタミナも十分。さらに、出場校の中で最も長いイニング(114回)を投げながら、防御率1.50と安定している。佐藤に続く2番手投手が確立していないのは不安だが、打線も佐藤のほか、1年秋から主軸を務める亀井優輝(3年)など打撃センスの光る打者が揃っているだけに、東洋大姫路にも上位に食い込む可能性は十分ある。

 近畿大会3試合で30安打18得点を叩き出した智弁和歌山も優勝候補の一つだ。特に昨夏、仙台育英の佐藤由規(東京ヤクルト)から特大アーチを放った、プロ注目の坂口真規(3年)は近畿大会全3試合で本塁打を放つなど、期待通りのパンチ力を見せている。また、昨夏の甲子園メンバーが8人揃っており、経験という点でも手強いチームだ。

 とはいえ、今年は一昨年の駒大苫小牧・田中将大(東北楽天)や昨年の大阪桐蔭・中田翔(北海道日本ハム)のような剛腕、強打者はいない。それだけに各チームの戦力も均衡しており、どこが優勝してもおかしくはない。
 果たして、紫紺の優勝旗はどのチームに渡るのか。いよいよ明日、熱戦の火蓋が切って落とされる。