プロ野球パシフィックリーグの2008シーズンが20日、開幕を迎える。今季のパ・リーグは下位球団が補強や戦力の底上げをはかり、例年以上に実力差が縮まった。果たして144試合の長いペナントレースを勝ち抜くのはどのチームか? そしてクライマックス・シリーズに進出するのは? 当HP編集長の二宮清純は北海道日本ハムを1位、そして東北楽天が3位でクライマックスシリーズに勝ち進むと予想した。
★二宮清純予想★

1.北海道日本ハム
2.福岡ソフトバンク
3.東北楽天
4.埼玉西武
5.千葉ロッテ
6.オリックス

 長いシーズンを考えたときに、決め手になるのはやはり投手力、そして守備力だ。日本ハムは大きな補強こそしていないが、エースのダルビッシュ有を中心に、投手陣は充実している。また二遊間の田中賢介、金子誠、外野の森本稀哲、稲葉篤紀らが鉄壁の守備を誇る。ディフェンス面が大崩れしない限り、確実に勝ち星を重ねていくだろう。

 ソフトバンクは大学ナンバーワン右腕のルーキー大場翔太(東洋大)が楽しみ。昨年は期待はずれに終わったサウスポーの大隣憲司も実力を発揮しそうだ。ただ、エースの斉藤和巳が肩の手術を受け、代わりに先発の軸となるべき和田毅も故障で出遅れている。さらには抑えの馬原孝浩が開幕直前にリタイアしたのが痛い。ケガ人が多く、日本ハムにはやや及ばないのではないか。

 3位には楽天を推す。過日、野村克也監督にお会いしたが、かなり気合が入っていた。今年を集大成のシーズンと位置づけ、知将の頭脳をフル回転させて、チームを上位に導くはずだ。先発ローテ入りが確実視されたルーキー長谷部康平(愛工大)の離脱は痛いが、早期復帰してくれれば、3位は充分に狙えるだろう。

 4位と予想したが、西武もAクラス争いに絡んでくるチームだ。渡辺久信新監督は3年間、ファームの指揮を執り、若手の力量をよく把握している。カブレラ(オリックス)、和田一浩(中日)が抜けたものの、若い松坂健太が出てきた。機動力を使った攻撃でチャンスをモノにし、リリーフ陣の勝ちパターンが確立されれば面白い。
 
 逆に“勝利の方程式”が見えてこないのが千葉ロッテ。自慢の“YFK”(薮田安彦=ロイヤルズ、藤田宗一=巨人、小林雅英=インディアンス)がチームを離れ、接戦をモノにできるか不安が残る。抑え候補としては新外国人のアブレイユがいるが、助っ人が活躍するかどうかはシーズンのフタを開けてみないとわからない。

 オリックスは補強ポイントがズレているように感じる。パ・リーグの球団の本拠地はどこも広い。ローズ、ラロッカに西武から移籍したカブレラを加えたクリーンアップは強力とはいえ、攻撃一辺倒ではシーズンは持たない。ただ豪快さを売り物にした昔のパ・リーグを彷彿とさせる野球は捨て難い。


★スポーツコミュニケーションズ予想★

1.福岡ソフトバンク
2.千葉ロッテ
3.北海道日本ハム
4.東北楽天
5.埼玉西武
6.オリックス

 混戦が予想される今シーズンだが、優勝となると北海道日本ハム、福岡ソフトバンク、千葉ロッテの3球団に絞られるだろう。どのチームも昨年と比べると主力選手を退団や故障で欠いており、決め手がない。どこかが独走することは考えられない。

 となるとカギを握るのは、8月の五輪期間の戦い方か。主力選手を日本代表に引き抜かれた際に、いかにカバーできるかで差が出るのではないだろうか。その観点で3球団を比較すると、日本ハムはエースのダルビッシュと主砲の稲葉が選出される可能性が大。ダルビッシュは先発のため、約1カ月の五輪期間中に代役を立てるのは4回程度でいいが、毎試合出ている稲葉の穴は大きい。もともと打線が強くないチームだけに得点力のさらなる低下は免れないだろう。

 ロッテでは成瀬善久、西岡剛の予選メンバーに加え、小林宏之やサブマリンの渡辺俊介といった先発陣が日の丸を背負う可能性がある。バレンタイン監督は代わりに若手をどんどん抜擢するだろうが、走攻守3拍子揃った西岡がトップバッターにいるのといないのとでは、打線のいやらしさが違ってくる。先発陣も2人以上抜けることになれば大きな痛手だ。

 案外、五輪期間中も戦力を落とさず勝負できるのは、ソフトバンクかもしれない。和田、杉内俊哉、松中信彦、多村仁など代表候補メンバーは多いが、確実なのは川崎宗則のみ。他は故障を抱えている選手が多く、代表に選ばれるかどうか未知数だ。加えてルーキーの大場、元巨人のパウエルを獲得し、補強も万全。たとえ2、3選手が抜けても、手駒の多さでソフトバンクが優位に立つのではないか。あとは守護神・馬原がいつ復帰するかがポイントになるだろう。

 上位3球団に食い込むチャンスがあるのが楽天と西武だ。楽天はサウスポー長谷部の加入で、田中将大、岩隈久志らとリーグ有数の先発陣を形成できていたはずだった。ところが長谷部がヒザを痛め、前半戦を棒に振るかもしれない。彼が不在となれば、頼みの綱は田中のみ。岩隈や一場靖弘が、かなりの活躍を見せないとAクラス入りへの扉は開かない。昨季チーム失策数がリーグワーストだった守備に不安がある点もマイナス材料だ。

 西武は攻撃面での戦力ダウンは否めないものの、FAで石井一久、和田の人的補償で岡本真也を補強し、投手力はアップした。特に岡本の加入は大きい。リリーフ陣が機能せず、逆転負けの多かった昨季の二の舞にはならないだろう。新外国人のブラゼル、ボカチカもそこそこ結果を残しそうで、あとは若手野手が誰かブレイクすればAクラスを狙える。

 オリックスは残念ながら、Bクラスから抜け出せそうにない。確かに昨季計96本塁打をマークしたローズ、ラロッカ、カブレラの外国人トリオは魅力だ。しかし、打線は水物。投手力がないと、安定した戦いはできない。先発の軸である平野佳寿がヒジの手術で長期離脱する点も苦しい。

★パ・リーグ開幕カード★ ( )内は予告先発

・北海道日本ハム(ダルビッシュ有)×千葉ロッテ(小林宏之) 札幌ドーム 14時
・埼玉西武(涌井秀章)×オリックス(金子千尋) 西武ドーム 13時
・福岡ソフトバンク(杉内俊哉)×東北楽天(岩隈久志) ヤフードーム 13時