プロボクシングのWBC世界フライ級タイトルマッチが8日、両国国技館で行われ、チャンピオンの内藤大助(宮田ジム)が、前王者で同級1位のポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)と三者三様の判定で引き分け、2度目の防衛に成功した。
 昨年7月に3度目の正直でポンサクレックを判定で倒し、続いて行なわれた10月の亀田大毅(協栄ジム)戦では相手の反則行為にも屈せず、初防衛に成功。全国にその名が知れ渡り、人気を博した。そして4度目となったポンサクレックとの戦いは両者一歩も譲らず、最終ラウンドまでもちこまれた。
 判定の結果、三者三様のドローで王者・内藤に軍配が上がった。内藤は戦績を37戦32勝(20KO)2敗3分とし、ポンサクレックとの対戦成績は2勝2敗となった。33歳6カ月での防衛は自身がもつ国内最年長記録を更新したことになる。日本のジム所属の世界王者は5人のまま。

 内藤の強靭なスタミナと最後まで守りに入らず、戦う姿勢を見せた積極さが勝利を呼んだ――。

 今年8月には34歳となる内藤は、負ければ引退の可能性もあることを示唆し、並々ならぬ覚悟で臨んだ試合だった。
 一方、前戦で18度目の防衛に失敗し、この試合で王座返り咲きを狙ったポンサクレック。前日の計量をジャージを着用したままで100グラムアンダーの50.7キロでパス。余裕の表情を見せていた前王者は明らかにキレとスピードでは内藤を上回っていた。内藤の大振りのパンチを次々とかわしながら懐に入って繰り出すカウンター狙いの左ストレートは威力十分で、ポンサクレックの調子の良さをうかがわせた。

 しかし後半は内藤がスタミナのあるところを見せ、4R終了後に公開されたポイントでは相手にリードを許したが、逆に8Rでは内藤がリードを奪う。これでポンサクレックは焦りを覚えたのか、内藤を投げ飛ばす場面も。さらに9RにはKO狙いの右アッパーを連発する。
 それでも内藤は一歩も引き下がらなかった。長いリーチをいかし、右、左、そしてボディと次々パンチを繰り出していく。

 そしていよいよ最終ラウンド。内藤とポンサクレックはどちらからともなく抱き合って健闘を称え合った後、互いに全ての力を出し切ろうとするかのように、激しい打ち合いを演じた。
 そして勝負の行方はジャッジの判定に委ねられた。結果、3人の判定は115−114でポンサクレック、115−113で内藤、そして3人目は114−114と三者三様のドローで内藤がチャンピオンベルトを守り抜いた。
 また、この勝利で興行権はポンサクレック陣営から内藤陣営に移り、今後の防衛戦を自由に組むことができるようになった。

 互いにプライドをかけたガチンコ勝負に勝利した内藤。果たして、防衛の最高齢記録はどこまで更新されるのか。今後も王者から目が離せなくなりそうだ。
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