日本陸上競技連盟は9日、2020年東京オリンピックでの活躍が期待される「ダイヤモンドアスリート」に昨年の国体少年男子B100メートルを大会新で優勝したサニブラウン・アブデル・ハキーム(城西大城西高)、男子400メートル高校3冠の北川貴理(敦賀高)ら11名を選出した。メンバーは記録や実績にとらわれず、全国9地区の「タレントマネジャー」からリストアップされた約50名の中から絞り込んだ。今後は日本陸連が選手たちの海外での合宿やトレーニング、大会出場などのサポートを行う。
(写真:ゲストとして認定書を贈呈した室伏と、「ダイヤモンドアスリート」に選ばれたハキーム)
「(ダイヤモンドアスリートは)矛の部分。攻めていく」。東京オリンピックプロジェクトチームのディレクターを務める山崎一彦強化副委員長は、新しい選手強化システム策定に取り組んでいる。

 現在、全国に十数名いるタレントマネジャーが昨年4月から調査を開始し、人材発掘に努めてきた。選考基準は記録や実績ではなく「可能性」だ。山崎強化副委員長は「将来的に伸びるであろうという人たち、他種目への転向を含め、いろいろな可能性を持った人たちを選んだ」と語った。ダイヤモンドアスリートは目利きで選んだ“原石”たちを国際的な選手に育成する狙いだ。

 この日、認定書のプレゼンター役を務めた男子ハンマー投げの室伏広治は、新プロジェクトの効果をこう期待する。
「東京オリンピックに向けて国際化を図っていかなれければいけない。世界基準のマインドを身に付けるためには、日本の中だけでやっていても磨かれない。日本で成績が良くても海外に行くと全然ダメという選手がいますが、共通する問題はコミュニケーション能力に欠け、日本をそのまま持っていてどんどん孤立してしまうことです。大会でその土地になじめず、ストレスで成績が出せないでは話にならない。国際化は競技力と同じぐらい大事なことだと思いますね」

 5年後の東京オリンピックで「メダル、または入賞が期待できる」と選ばれた11人の原石。ただしダイヤモンドの原石だとしても、磨かなければ輝きは生まれない。磨き方次第で宝石の価値は大きく変動する。指導者の育成も含め、今後の体制をしっかりと築けるかどうかが成功のカギを握る。

<ダイヤモンドアスリート>
・男子
 山下潤(福島高)
 犬塚渉(浜名高)
 北川貴理(敦賀高)
 岩本武(京都両洋高)
 サニブラウン・アブデル・ハキーム(城西大城西高)
 平松祐司(西城陽高)
 佐久間滉大(法政二高)
 池川博史(滝川二高)

・女子
 藤森菜那(浜松市立高)
 高松智美ムセンビ(薫英女学院中)
 北口榛花(旭川東高)
(写真:選考は山崎強化副委員長<左>と石塚強化情報部部長を中心に行われた)[/b]