19日、都内のホテルでNPBの「新人選択会議 大学生・社会人選択会議」が行われ、12球団から34選手が指名を受けた。
 最も注目された東都リーグ奪三振王の大場翔太(東洋大)は巨人、北海道日本ハム、阪神、福岡ソフトバンク、横浜、オリックスの6球団から指名を受け、抽選の結果、ソフトバンクが交渉権を獲得。北京五輪出場を目指す野球日本代表の最終メンバーにアマチュアから唯一選ばれた長谷部康平(愛工大)は中日、千葉ロッテ、東北楽天、広島、西武の5球団が指名し、野村克也監督率いる楽天が交渉権を得た。
(写真:大場の当たりクジをひき、笑顔のソフトバンク・王監督)
 また、東京六大学リーグで通算30勝を挙げた左腕・加藤幹典(慶応大)は東京ヤクルトが単独指名した。

 交渉権を得られなかった各球団は外れ1巡目を指名。社会人No.1投手の服部泰卓(トヨタ自動車)を日本ハム、ロッテ、西武が指名し、ロッテが交渉権を獲得した。186センチの長身左腕・篠田純平(日大)も巨人、広島、オリックスの3球団が競合したが、抽選の結果、広島に軍配が上がった。

 それ以外の選手に競合はなく、中日は山内壮馬(名城大)、阪神は白仁田寛和(福岡大)、横浜は小林太志(JR東日本)、をそれぞれ1巡目に指名した。
(写真:「白仁田も大場と遜色ない」。大場を指名できずサバサバした表情の阪神・岡田監督)
 2回目の抽選にも敗れた残りの4球団は日本ハムが多田野数人(元3Aサクラメント)、巨人が村田透(大体大)、西武が平野将利(JR東日本東北)、オリックスが小林賢司(青山学院大)を指名し、全球団の1巡目が確定した。

 昨年のドラフトでは希望枠(今年度より廃止)も含めて57選手が指名されたものの、今年は大場や長谷部ら以外に目玉となる選手が少なく小規模なドラフトになった。球団別では東京ヤクルトが最多の5選手を獲得。オリックス、西武、横浜、中日の4球団が2名のみの指名にとどまった。

<交渉権獲得決定選手>

東京ヤクルト
【1巡目】
 加藤幹典(慶応大・投手)
【3巡目】
 鬼崎裕司(富士重工業・内野手)
【4巡目】
 岡本秀寛(JFE西日本・投手)
【5巡目】
 中尾敏浩(JR東日本・外野手)
【6巡目】
 三輪正義(四国リーグ香川・内野手)

オリックス
【1巡目】
 小林賢司(青山学院大・投手) ※大場、篠田の外れ指名
【3巡目】
 小瀬浩之(近畿大・外野手)

広島
【1巡目】
 篠田純平(日大・投手) ※長谷部の外れ指名
【3巡目】
 小窪哲也(青山学院大・内野手)
【4巡目】
 松山竜平(九州国際大・外野手)

西武
【1巡目】
 平野将利(JR東日本東北・投手) ※長谷部、服部の外れ指名
【3巡目】
 藤原良平(第一工業大・投手)

横浜
【1巡目】
 小林太志(JR東日本・投手) ※大場の外れ指名
【3巡目】
 桑原謙太朗(奈良産大・投手)

東北楽天
【1巡目】
 長谷部康平(愛工大・投手)
【3巡目】
 伊志嶺忠(東京情報大・捕手)
【4巡目】
 聖澤諒(国学院大・外野手)
(写真:「強いね」。昨年の田中将大に続き、大物を引き当てた楽天・島田社長を称える野村監督)

阪神
【1巡目】
 白仁田寛和(福岡大・投手) ※大場の外れ指名
【3巡目】
 石川俊介(上武大・投手)
【4巡目】
 黒田祐輔(シャンソン化粧品・投手)

福岡ソフトバンク
【1巡目】
 大場翔太(東洋大・投手)
【3巡目】
 久米勇紀(明治大・投手)

中日
【1巡目】
 山内壮馬(名城大・投手) ※長谷部の外れ指名
【3巡目】
 谷哲也(日立製作所・内野手)

千葉ロッテ
【1巡目】
 服部泰卓(トヨタ自動車・投手) ※長谷部の外れ指名
【3巡目】
 根本朋久(横浜商大・投手)
【4巡目】
 伊藤義弘(JR東海・投手)
【5巡目】
 下敷領悠太(日本生命・投手)

巨人
【1巡目】
 村田透(大体大・投手) ※大場、篠田の外れ指名
【3巡目】
 古川祐樹(明治大・投手)
【4巡目】
 加治前竜一(東海大・外野手)

北海道日本ハム
【1巡目】
 多田野数人(元3Aサクラメント・投手) ※大場、服部の外れ指名
【3巡目】
 宮西尚生(関西学院大・投手)
【4巡目】
 村田和哉(中央大・外野手)
(写真:抽選で2回外し、苦笑いの日本ハム・梨田監督)

※2巡目は高校生ドラフトで1巡目指名を行わなかった球団がなかったため、今回は実施せず。

 初年度のBCリーグから1選手、アイランドリーグより5選手指名 〜育成ドラフト〜

 大学・社会人ドラフトに引き続いて行われた育成選手ドラフトでは8球団より計15選手が指名を受けた。今年スタートした独立リーグのBCリーグ(旧・北信越BCリーグ)からは石川ミリオンスターズの内村賢介内野手が楽天に指名された。入団が決まれば、同リーグ出身では記念すべき第1号のNPB選手となる。また先輩格にあたる四国アイランドリーグからは、ロッテが3選手を獲得するなど、合わせて5名にNPBへの扉が開かれた。

 球団別では過去2年間、育成選手を採用してこなかった千葉ロッテが5選手を指名。昨年は7名の“大量指名”を行った巨人は3選手の指名にとどまった。ロッテは育成選手に実戦経験を積ませるため、アイランドリーグへの派遣を求めている。現状では他球団から難色を示され、実現は困難な状況だが、バレンタイン監督は「彼ら(独立リーグ)は我々を強くしてくれる組織だ。ぜひ、そういう(派遣して育成する)場を与えてほしい。すべての野球組織から助けを得ることで、日本野球は大きな発展をすることができる」と改めて、NPBに派遣許可を求めていく考えを示した。

 育成選手は、文字通り各球団が将来を期待して育成を行う選手で、支配下登録の上限(70名)を超えて保有できる。各球団を自由契約となった選手や、外国人とはドラフトを経なくても獲得可能。最低年俸は240万円でオープン戦や2軍の試合には出場できるが、1軍の公式戦には出場できない。06年シーズンから始まったこの制度で、育成選手を経て支配下登録されたのは、中村紀洋(中日)などこれまでに10名いる。

<交渉権獲得決定選手>

東京ヤクルト
【1巡目】
 小山田貴雄(四国リーグ高知・捕手)

オリックス
【1巡目】
 梶本達哉(四国リーグ愛媛・投手)

広島
【1巡目】
 山内敬太(名城大・外野手)

横浜
【1巡目】
 関口雄大(滋賀大・外野手)
【2巡目】
 杉本昌都(水戸短大附・捕手)

東北楽天
【1巡目】
 内村賢介(BCリーグ石川・内野手)

阪神
【1巡目】
 田中慎太朗(立正大・内野手)

千葉ロッテ
【1巡目】
 池田健(青藍泰斗高・投手)
【2巡目】
 宮本裕司(四国リーグ高知・捕手)
【3巡目】
 小林憲幸(四国リーグ徳島・投手)
【4巡目】
 白川大輔(四国リーグ高知・内野手)
【5巡目】
 大谷龍次(日立製作所厚木・外野手)

巨人
【1巡目】
 籾山幸徳(立命館大・内野手)
【2巡目】
 西村優希(遠軽高・投手)
【3巡目】
 谷内田敦士(北照高・捕手)