英国から黒船襲来か!? 世界最高峰のサッカーリーグの一つであるイングランド・プレミアリーグが2010−2011シーズンから公式戦の海外開催を検討していることが明らかになった。


 現行のリーグ戦38試合を39試合にして、増えた10カードを「国際ラウンド」と銘打ち、東京、ニューヨーク、シドニーなど海外5都市で行う計画。海外での公式戦は野球の米大リーグや米プロフットボールが既に行っているが、サッカーでは初めての試みだ。

「スポーツはグローバル化の一途をたどる。海外進出はリーグをより高いレベルに持ち上げてくれるだろう」とプレミアリーグ会長のリチャード・スカッドモア。この計画が実現すればリーグ全体で1億ポンド(約209億円)、1クラブ当たり500万ポンド(約10億5000万円)の収入が見込めるとしている。

 日本も安閑としてはいられない。マンチェスター・ユナイテッドやリヴァプールといった人気チームが来日すれば、間違いなくJリーグは観客を奪われる。影響を全く受けないのは強固な支持基盤を築いている浦和レッズら一部のクラブだけだろう。

 Jリーグは守りに入るのではなく、こういう時だからこそ反対に攻めるべきだ。現在、検討中のアジア選手枠の創設などは一日も早く実現させてほしい。旗振り役の犬飼基昭専務理事は「アジアの発展するマーケットを取り込むことが狙い。Jリーグの未来を考えれば、閉鎖されたマーケットではこれ以上の発展は望めない」と語っていたが、全く同感だ。

 一部に「日本人選手の育成の阻害になる」とアジア選手枠の創設に反対する声もあると聞いたが、それはあまりに内向きに過ぎる。Jリーグは「開国」のメッセージを今こそアジアのみならず世界に向けて発信すべきだ。さもなくばグローバリズムという名の濁流に呑み込まれてしまいかねない。黒船は早ければ再来年の1月には姿を現す。

(この原稿は『週刊ダイヤモンド』08年3月8日号に掲載されました)


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