第175回 スタジアムで分かる国のスポーツ民度

 首都・東京に2020年五輪・パラリンピックがやってくるかどうかは来年9月、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催されるIOC総会を待たなければならないが、19年ラグビーW杯の日本開催は既に決定している。メインスタジアムに予定されているのが国立競技場である。  16年の五輪・パラリンピック招致ではメインスタジアムを東京の晴海地区に建設する案だったが、早くから私は国立競技場を改築すべし、という意見だった。

第174回 広島V、44歳の指揮官・森保一の正体

 1993年のJリーグ創設時から存在する10クラブの中で3冠タイトルに縁がないのはサンフレッチェ広島だけだった。  その広島が創設21年目で年間優勝を達成した。指揮官はOBの元日本代表MF森保一。前任のミハイロ・ペトロヴィッチ監督が推進した攻撃サッカーに組織的守備を浸透させた。

第173回 「クラブライセンス制度」が根付かす経営的戦略

 Jリーグが2013年度から導入する「クラブライセンス制度」をご存知だろうか。  安定的なクラブ経営を促すため、財務基準としては債務超過や3期連続赤字のクラブにはライセンスが交付されず、Jリーグに参加できない。

第172回 名将・ファーガソンの育成論

 マンチェスター・ユナイテッド(マンU)の名将、サー・アレックス・ファーガソンは、海外でも例外中の例外の指揮官といえる。  マンUを26年間にわたって率い、UEFAチャンピオンズリーグを2度、UEFAカップ・ウィナーズ・カップを1度、イングランド・プレミアリーグを12度制している。これほど長期に渡って同一チーム、しかも名門を率いた例は寡聞にして知らない。

第171回 キング・カズ、W杯へいざ出陣!

 この11月、タイでフットサルのW杯が開催される。日本代表の目玉はキング・カズこと三浦知良(横浜FC)である。  サッカーが11人で行われるのに対し、フットサルは5人。選手交代に制限は設けられていない。その意味でフットサルはサッカーとは似て非なる競技といっていいだろう。

第170回 唯一、「世界」とつながっていた19年前の広島

 サンフレッチェ広島がリーグ初優勝へ邁進している。J1リーグでは2ステージだった1994年に、ファーストステージを制覇。だが、チャンピオンシップで敗れ、年間王者の座は逃した。それから18年、広島はリーグタイトルには手が届いていない。なぜ、19年前の広島はファーストステージで優勝することができたのか。その軌跡を振り返る。

第168回 “女子力”光ったロンドン五輪

 ロンドン五輪における日本の金メダル7個の内訳は柔道1(女子)、レスリング4(男子1、女子3)、ボクシング1(男子)、体操1(男子)。女子が男子をひとつ上回った。  金メダル数で女子が男子を上回るのは、これで3大会連続だ。アテネでは男子7、女子9。北京では男子4、女子5。“女高男低”の傾向が続いている。  おとなしい若い男性を評した「草食系男子」という言葉が流行ったのは3年前だが、スポーツにおいては「肉食系女子」の時代か。

第167回 必要不可欠になった「科学の目」

 遅きに失したきらいはあるが、導入を決定したこと自体は評価したい。  去る7月5日、スイス・チューリヒで開かれた国際サッカー評議会で、FIFAは「科学の目」を正式に導入することを決定した。  報道によればFIFAは今冬、東京で行われるクラブW杯を皮切りに、2013年コンフェデ杯、14年ブラジルW杯でも採用したい意向のようだ。

第166回 肉食系女子の時代

「女子サッカー選手って子供の頃はほとんど男子に交じってプレーしているんです。  普通の女の子は男子とプレーすると見劣りするんですが、そんな中でも男子に負けなかった女の子がいる。そういう子が“なでしこジャパン”に入れるんです」  こう語ったのはアトランタ五輪女子サッカー代表の大竹七未さんだ。現在は東京国際大学女子サッカー部の監督の傍ら、解説の仕事もしている。  この6月には13歳年下のJリーガー弦巻拳東と結婚して話題になった。

第165回 阪口夢穂、なでしこを仕切る

 夢穂と書いてみずほと読む。ニックネームは「みーちゃん」。ロンドン五輪で金メダルを目指す「なでしこジャパン」の不動のボランチだ。  阪口とコンビを組む澤穂希が彼女のプレーを評して、あるテレビ番組でこう語っていた。 「自分があそこまで攻撃に専念できたのはみーちゃんのおかげ。今では“みーちゃんじゃないと嫌だ”ぐらいの感じです」

第164回 欧州で日韓戦を!

 世界最高峰のクラブのひとつに数えられるマンチェスター・ユナイテッドに移籍した香川真司の背番号が、噂されていた「7」ではなく、「26」に決まった。  マンUにおける「7」は特別な意味を持つ。ベルファストの空港にその名をとどめるジョージ・ベストの背中で躍動した「7」は、ブライアン・ロブソンらを経てエリック・カントナに引き継がれ、デイビッド・ベッカム、クリスティアーノ・ロナウドが光彩を加えた。

第163回 ベルデニックのチーム再生術<後編>

 以前にも増して驚かされたのは日本という国と日本人を見る目の確かさである。 「日本は社会主義国家です。私も旧ユーゴという社会主義国家で育ち、生活をし、サッカーをしてきたため、日本人の考え方はよくわかります。個人よりも集団を強調するのが社会主義国家の特徴ですが、そうであればそこをベースにした指導をすればいいのです」

第162回 ベルデニックのチーム再生術<前編>

 今月4日、鈴木淳前監督の解任に伴い、大宮アルディージャの新監督にズデンコ・ベルデニックが就任した。彼は91年から1年間、横浜フリューゲルス(現横浜FM)でコーチを務めた後、母国スロベニアの五輪、フル代表の監督を歴任。2000年シーズンの途中からはジェフユナイテッド市原(現千葉)の監督に就任した。その翌年には、3年連続でJ1残留争いを強いられていたジェフをファーストステージ2位、セカンドステージ5位の年間3位に導いた。ベルデニックがどのように低迷していたチームを立て直したのか。当時のインタビュー記事から模索する。

第160回 Jリーグ創設反対論を一蹴した川淵三郎の名言

 1993年にスタートしたJリーグは今年で20年目のシーズンを迎えた。アトランタ五輪代表の“マイアミの奇跡”を皮切りに、4大会連続W杯出場、日本人選手の海外移籍……など、近年、日本のサッカー界は大きな飛躍を遂げている。そのきっかけともなったプロサッカーリーグの創設に尽力し、日本サッカーの発展に貢献したのが川淵三郎(現日本サッカー協会名誉会長)だ。09年にはこれまでの功績を評価され、社会の様々な分野において、顕著な功績を挙げた人物に贈られる旭日重光章を受章している。しかし、当初はJリーグを創設するにあたり、周囲からは反論の声も少なくなかった。今回は逆風の中、川淵氏がどのようにJリーグひいては現在の日本サッカー界の礎を築いたのかを振り返る。

第160回 ロナウド 世界最高のストライカー

 スペインのリーガエスパニョーラで2人のストライカーが凌ぎを削っている。バルセロナのリオネル・メッシとレアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドだ。4月20日現在、ともに41ゴールを記録している。次点の選手が22ゴールであることからも、2人の争いが異次元で行われているのがわかる。そんな2人が世界最高峰に上り詰めるのと入れ替わるようにして、昨年2月に現役を引退したのが元ブラジル代表のロナウドだ。一昔前、世界最高のストライカーという称号は彼のものだった。そのロナウドには苦しんだ時期がある。今回は、ロナウドが大ケガと98年W杯での挫折を乗り越え、02年W杯で復活した経緯を振り返りたい。

第158回 モダンのリトマス試験紙 〜森保一(サンフレッチェ広島監督)〜

 Jリーグ20年目のシーズンが始まった。その20年前の1992年に、日本サッカー界に新星が現れた。今季からサンフレッチェ広島の監督に就任した森保一である。現役時代の彼は、日本にモダンサッカーを導入したハンス・オフトの「申し子」として日本代表の中盤を支えた。森保の代表抜擢には多くの人々が驚いた。当時、彼は地方クラブの一選手にすぎなかったからである。では、なぜオフトは森保を選んだのか。そこにはオフトが見抜いたボランチとしての“適性”があった。

第157回 “差”ではなく“違い” 〜宮間あやインタビュー〜

 昨年、ドイツW杯で歓喜の初優勝を達成したなでしこジャパン。次なる目標は今夏、ロンドンで開催されるオリンピックでの金メダルだ。その前哨戦となったアルガルベ杯では、準優勝に終わったものの、25戦して過去一度も勝利できていなかったアメリカ(※W杯決勝でのPK戦は引き分け扱い)に、初めて土をつけた。果たしてその勝因は何だったのか。過日、なでしこジャパンの新主将に就任した宮間あやにインタビューを敢行した。そこで、彼女はアメリカ撃破のポイントを語っていた。

第156回 苦難を乗り越えてこその五輪 〜山本昌邦インタビュー〜

 U-23日本代表が22日、ロンドン五輪アジア最終予選で同マレーシア代表戦に臨む。5日のシリア戦に敗れ、グループ2位に転落して自力で予選を1位で、五輪出場権を獲得する可能性は消えた。予選を1位で突破するにはマレーシア戦を含めた残る2試合で勝利、かつ大量得点が必要とされる状況だ。だが、日本は過去にも苦境を乗り越え、予選を勝ち抜いてきた。2004年、アテネ五輪出場を目指していた時は、敵地で原因不明の集団食中毒に見舞われた。当時の指揮官・山本昌邦は、いかにしてチームを五輪へと導いたのか。今回は最終予選後に行なった山本へのインタビューから、五輪出場に必要な要素を探る。

第155回 澤穂希、「謙虚さ」がもたらしたバロンドール

 サッカー選手にとって、これ以上の勲章はない。昨年7月の女子W杯ドイツ大会で「なでしこジャパン」を世界一に導いたキャプテン澤穂希が女子のFIFA年間最優秀選手賞を受賞した。W杯ドイツ大会で得点王、MVPに輝いたことを考えれば、当然の受賞か。  男子の年間最優秀選手は3年連続でバルセロナのリオネル・メッシ。 「隣にメッシ選手がいて、自分の名前が呼ばれた時に頭が真っ白で何が何だか分からなかった」と澤は受賞の喜びを語っていた。

第152回 ゴールの「矢印」(柏レイソル・北嶋秀朗)

 柏レイソルの北嶋秀朗は両ヒザの状態で翌日の天気を占うことができる。 「天気が悪くなる前日くらいに痛みが出るんです。大体、80パーセントの確率で当たりますね。僕は“ヒザの天気予報”って呼んでいるんですけど(笑)」

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