いよいよ決戦の日が1週間後に迫った。
 中東寄りの偏った判定が相次いだ問題により再開催が決まったハンドボールの北京五輪アジア予選(女子:1月29日、男子:1月30日、東京・国立代々木競技場)に向けた日本代表最終合宿の公開練習が、21日に本格的にオープンしたナショナルトレーニングセンター(東京都北区)で行われ、多くの報道陣が見守る中、男女の日本代表候補選手が軽快な動きを見せた。
(写真:熱のこもった練習を見せる日本代表候補選手)
 この日の練習ではゲーム形式に近い中での基本的なプレーの確認などが行われ、韓国との一騎打ちに向け、選手たちも気合の入った様子で汗を流した。
 再開催の決定に伴い就任した酒巻清治監督は、韓国戦へ向けた分析・戦術について質問が出ると「いっぱいある。急造チームなので、自分が考えていることをチームにいかに落としこめるか。まだ100%ではないが、素晴らしい舞台を用意していただいたので、しっかりと戦いたい」と語った。

 男子キャプテンの中川善雄(大崎電気)(左写真)は「皆、自分のプレーに集中できている。チーム状態も良い。気持ちも雰囲気も高めて30日に合わせていきたい」と語り、「(当日は)観客が多い中で物怖じせずに、3度の強化合宿でやってきたことを思い切り出せるか。相手(韓国)の戦術に対応することはもちろんだが、まずは自分たちのプレーがどれだけできるかだと思う」と落ち着いた表情で語った。
 日本代表としてプレーする中で、自身も幾度となく「中東の笛」に苦しめられてきた中川は、「スポーツの価値を見直す良い機会になったと思う。広く知ってもらえたことが嬉しい」とも語った。

 男子のエース・宮崎大輔(右写真)は「今日の練習ではシュートが5割以上入ったし、自分の状態も良い。チームにも活気がある。この流れのまま行きたい」と充実の表情を見せ、報道の過熱ぶりにも「残り1週間、冷静さを忘れずにいきたい」と足元を見つめる。
 アジア連盟(AHF)が日本協会に対してアジア予選を開催もしくは参加した場合、除名処分とすると通知したことについて訊かれると「いろいろな力でスポーツを動かそうとするのは腹が立つ。(再開催は)世界(国際連盟)が決めたこと。選手がやることは決まっている。韓国との予選に向けてやるだけ。しっかりと気持ちを持って戦いにいきたい」と、表情を引き締めた。
 
 この日から最終合宿がスタートした女子は、昨年12月に世界選手権に出場(19位)して日が浅いこともあり、「新しく作り直すチームではない。いろんな意味での追い風もある。それを受けながら戦っていきたい」と西窪勝広総監督。続けて、アテネ五輪銀メダルの強豪・韓国との勝負については「アテネ五輪の頃に比べて差が縮まっていることは事実。日本独特のスピード、身体を張った泥臭さが出せれば、大きな目標が達成されるのではないか。自信はある」と力強く語った。  
 
 女子キャプテンの佐久川ひとみ(オムロン)(左写真)は「自分たちがやるべきことを100%出さないと結果にはつながらない。60分間体を張って戦って最終的にオリンピック切符を取りたい。応援をパワーに変えて強い気持ちで戦いたい」、エースでベテランの田中美音子(ソニーセミコンダクタ九州)は「地元開催ということはバックの支えもある。今まで以上に力を発揮できると思う。大会を重ねる毎に、韓国との力の差は縮まっているのを感じる。長い間戦ってきて一度勝っただけの相手だが、最後まであきらめないことが大事」とそれぞれ意気込みを口にした。

 この強化合宿に参加している代表候補選手は男子は25人、女子は19人。1月28日までには決戦に挑むそれぞれ15人の選手に絞られる。
 
2008北京オリンピックアジア予選(再戦)

■主  催   国際ハンドボール連盟
■主  管  (財)日本ハンドボール協会
■大会期間   2008年1月29日(火)、30日(水) 
■場  所  国立代々木競技場第一体育館(東京)
■参加国  日本、韓国(男女とも)
■試合日程
1/29(火) 19:20〜(予定) 女子 日本vs韓国
1/30(水) 19:20〜(予定) 男子 日本vs韓国
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