暑い、というより熱い。災害級の猛暑が続いている。

 

 

<この原稿は2022年7月18日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 

 

 さる6月25日、群馬県伊勢崎市で40.2度を観測した。報道によると、6月としては観測史上初の40度超えだそうだ。

 

 同じ日、東京都心でも35.4度を観測し、熱中症で60人以上が病院に搬送されたという。

 

 猛暑の原因は「ラニーニャ現象」。南米沖の海面水温が平年より低くなったことにより、日本列島付近の海面水温が一時的に上昇。結果として猛暑を招来した。気象庁は「暑い夏となるので、暑さへの備えは早めに」と警鐘を鳴らしている。

 

 そんな中、甲子園の地区予選が始まった。熱中症対策は大丈夫か。

 

 環境省と日本スポーツ協会は2019年に「熱中症予防のための運動指針」を策定した。

 

 その中にWBGTという専門用語が出てくる。いわゆる暑さ指数で、熱中症を予防するために基準化された労働環境や運動環境の指針である。

 

 運動に関する指針は5段階からなる。危険レベルでは、上から4番目のWBGT21~25は、気温24~28度に相当する。まだ30度に達していないにも関わらず<熱中症による死亡事故が発生する可能性がある>と注意を促している。

 

 危険度で上から2番目のWBGT28~31(31~35度)は<厳重警戒レベル>で<10~20分おきに休憩をとり水分・塩分の補給を行う>ことが奨励されている。

 

 最も危険なのはWBGT31以上(35度以上)。この場合、<運動は原則中止>と明記されている。水分や塩分を補給したところで、焼け石に水ということのようだ。

 

 高野連も手をこまねているわけではない。熱中症対策として20年からは白スパイクの着用を認めた。適度な水分補給を促したりもしている。

 

 しかし、それだけで十分か。ナイトゲームの増加やドーム球場との併用も議題に上げるべきだろう。何かが起きてからでは遅い――。それが危機管理の要諦である。

 


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