日本代表がシュート14本で1点だったのに対し、ウズベキスタン代表はシュート5本で1点。これがボクシングなら日本代表の判定勝ちだが、サッカーではそうはならない。

 さる10月15日、埼玉スタジアム2002で行われたW杯南アフリカ大会、アジア地区最終予選の日本対ウズベキスタン戦は1−1のドローに終わった。ホームゆえに勝ち点3を取りたかったが……。
 日本代表の決定力不足は今に始まったことではない。シュートの段になると、必要以上に力が入ったり、逆に萎縮してしまうのはなぜか。もっとシュートを楽しめないものか。

 以前、ジェフ市原などでプレーした宮澤ミシェル氏からこんな話を聞いたことがある。
「リトバルスキーと練習で“バー当て”をよくやりました。20メートルくらい離れたところからシュートを打って、バーに何本当たるかを競うんです。すると1本1000円とか、すぐ賭けが始まる。リトバルスキーは3本に1本は当ててしまうから大変でした。僕らはかすりもしない。やれ3000円だ、5000円だと騒いでいたら関係者から『ファンも見ているし、さすがにそれはマズイよ』と言われ、コーラやジュースになった。安上がりになって助かりましたけどね(笑)」

 聞けば、ブラジルの選手なども子供の頃から、シュート練習ではジュースやお菓子などを賭けているという。ただ蹴りました、はずれましたというのでは上達しない。“戦利品”が手に入れば練習にも熱が込もろうというものだ。集中力も増してこよう。
 スポーツが未だに「教育の一環」である日本では“チョコレート”はご法度である。だが、リトバルスキーがやっていたような遊び心にみちた“ゲーム”にまで目くじら立てる必要はないのではないか。それによって未来のストライカーがこの島国から誕生するのなら安いものである。

(この原稿は『週刊ダイヤモンド』08年11月1日号に掲載されました)

◎バックナンバーはこちらから