ずっと以前から気になっていたことがある。サッカー日本代表やJクラブの非公開練習だ。今ではファンや報道陣をシャットアウトするのが当たり前のようになっている。
 こうした現状に苦言を呈したのがJリーグの鬼武健二チェアマンだ。
「サービス精神がない」と話し、各クラブの代表者に非公開練習を極力避けるように指示した。

 佐々木一樹専務理事にいたっては、もっと辛辣だ。
「練習で集中できないなら、1万人以上集まる公式戦で集中できるはずがない。ファンに練習は来るな、試合だけ来てというのはあまりにも都合がいい話だ。ファンに見てもらうのも、プロとしての仕事の1つだよ」

 おもしろい検証を行ったのが東京中日スポーツ(3月10日付)だ。練習を公開したクラブと非公開にしたクラブの勝率をはじき出したのだ。
<開幕戦に限った成績だと、練習を公開したクラブは3勝2敗1分と勝率6割。一方、非公開を実施した12クラブは4勝5敗3分で、勝率は4割4分4厘。さらに2回以上の非公開練習を行った6クラブに関していえば、勝てたのは山形だけ。勝率1割7分では、効果のほどはまったくなかったと言わざるをえない>

 指揮官が戦術やセットプレーを秘匿したくなる気持ちはわからないでもない。情報漏れを防ぐ狙いもあるのだろう。しかし少々、ナーバスになり過ぎていやしまいか。「ヨソも非公開だからウチも非公開にしているだけですよ」と言った監督もいたが、もっとファンの視線に敏感になってもらいたい。
 あくまでも私見だが、代表だろうがJクラブだろうが、どうせ非公開練習をするんだったら「隠していたのはこれだったのか!!」と試合で度肝を抜くようなことをやってもらいたい。残念ながらこれまでそんなシーンには、ほとんどお目にかかったことがない。

(この原稿は『週刊ダイヤモンド』09年3月28日号に掲載されました)

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