2004年以来の国体制覇(近的)を最大の目標に掲げるダイキ弓道部。昨年は橋本早苗、小早川貴子の両選手が愛媛県代表として国体出場を果たしたものの、遠的、近的ともに予選落ちに終わった。昨年11月からは橋本が主将に就任し、出産で離れていた石田が指導者の道も目指して復帰。新体制で2010年のスタートを切っている。さらなる高みを目指して練習に励む部員たちを取材した。
(写真:厳しさの中にも弓を楽しんでいる選手たち)
 取材当日、ダイキ弓道部は岐阜県のイビデン弓道部との合同練習を実施していた。実業団大会で全国制覇の実績もある強豪とは、ほぼ1年に1回ペースで、ともに技を磨いている。松山市内にある室内練習場では、静寂の中に部員たちの「さぁ、一本」という掛け声が響き渡っていた。そして選手たちが弓を構えると、場内は一転して独特の緊張感に包まれる。聞こえてくるのは、狙いを定め、キリキリと弓を引く音だ。最大限に高まったテンションを解き放つように、パーンと矢を放つと、的に向かって一直線に飛んでいく。弓を構え、矢を射るまでのルーティンの動作は、まったく変わらないように映るが、ほんのわずかなブレが矢の行方を大きく左右してしまう。部員たちは実戦形式の練習の中でも、1本1本確かめるように、弓を引いていた。
(写真:イビデンの選手たちと練習後に記念撮影)

 期待の新人も入社

「素質はみんないいものを持っている」
 昨年まで弓道部の指導にあたっていた澤田紀之氏は選手たちを見つめながら、そう語る。一昨年10月から監督に復帰して1年間、取り組んだのは練習量のアップだった。
「1カ月を前・後期に分けて集計し、期毎の近的総射数は600射以上を維持すること」
 今年度の弓道部の内規には、そう明記してある。2年目の原田喜美子は「(澤田監督が不在だった)1年目は自分の型を見失っていた。先生の指導の下で練習を重ねることでだいぶ自信がついてきた」と明かしてくれた。

 練習中、興味深いことに気づいた。澤田氏がストップウォッチを握り、こまめにタイムを計測しているのだ。
「弓道には八節という基本動作があるのですが、この流れが一定になっていることが射の安定には大切なんです。試合で、このタイムが遅くなる選手は動作に気をとられて的に集中できていない。逆にタイムが早くなる選手は気が焦っている。そうならないように普段の練習から同じリズムで弓を引くことが大事なんですよ」
 指導のポイントも、より実戦を意識したものになっている。それは、それだけ彼女たちのレベルが向上している証だ。

 さらに、ダイキ弓道部には4月から楽しみな新人が入社する。松山大学出身の北風磨理(写真)だ。昨年はダイキの2選手とともに、県代表の一員として国体に出場した。弓道は、大学に入ってからのスタート。だが、「離れ(発射)のタイミングが先天的にいいものをもっている」(澤田氏)と、わずか4年間でみるみる力をつけた。

「初めての国体は楽しかった。社会人は大会がたくさんあるので楽しみです」
 取材日も含め、既に部の一員として練習に参加しており、雰囲気にも慣れた様子だ。「簡単だと思ったらカベにぶち当たる。他の部分を極めて、完成型を目指してほしい」。澤田氏の寄せる期待も大きいものがある。

 少数精鋭に方針転換し、北風も含め、2010年度の弓道部は6名で活動する。大会にもこれまでダイキは2チームを送りこんでいたが、今年は1チーム(3名)に絞り込む予定だ。まず部内の競走に勝ち抜かなくては、試合に出ることすらできない。「まずは(ダイキの中での)代表入りが目標です」。原田はキッパリと、そう言い切った。昨年、社会人1年目で国体を経験した小早川貴子も「(国体は)緊張して、自分に自信がなくなってしまった。この経験をいい方向に生かしたい」と雪辱を誓う。

「今年は成果が出てほしいよね」
 澤田氏が現場から離れることになり、選手たちの自主性も問われる2010年、この春は3月27日に四国実業団大会、4月4日に県下春季大会、10日は勤労者選手権の県予選と大会が続く。まずは、ここでどんな成果を残せるのか。それが「国体優勝」へとつながる第一の矢となる。


 コースに出てレベルアップを

 ダイキジュニアゴルフスクールは、この2月で開校1周年を迎えた。松山市内に専用の練習場を完備し、初年度は小学5年生の竹下桃夏さんが全日本小学生ゴルフトーナメントに出場するなど、早くも結果が出ている。「今年はコースに出る機会を増やして、経験を積ませたい」。スクールの宮崎順ゼネラルマネジャーは、そう2010年の方針を明かす。
(写真:ビーチバレーの室内練習場をゴルフ仕様に改造した)

 スクール生全員の目標は8月3日に開催される愛媛県小中学生ゴルフ大会(松山シーサイドカントリークラブ)への出場だ。同じく8月17日には四国小中学生ゴルフ大会が新居浜カントリー倶楽部で実施される。そのためにスクール内で、春休みと夏休みを利用して2度、コンペを開く予定だ。

  今の課題は、男子小学生、特に4、5年生の生徒を増やすこと。この年代はサッカーや野球などに人材がとられ、なかなか生徒を確保することが難しい。「石川遼君だって、中学時代は陸上をやっていたように、他のスポーツと兼ねてもらってもいい」(宮崎GM)。実際、スクールの練習は、「なわとび50回、スクワット20回、腹筋20回、うで立てふせ10回 小学4年生以上はランニング」など、体力強化の本格的なメニューも多い。「趣味で週1、2回楽しむという気持ちでは続かない」ため、スクールではポスターを作成し、ゴルフに本格的に挑戦したい子どもたちを募集中だ。
(写真:バンカーの練習場もある充実した施設)

 昨年から松山東雲中学に女子ゴルフ部が誕生し、この春からはスクールの生徒が入学する。地元での受け皿も徐々にではあるが整ってきた。「毎日やれば小学生なら1カ月もやれば大人顔負けのフォームで振れるようになる」と宮崎GMは子どもたちの急成長に目を見張る。「ゴルフはスイングづくりとスコアメイク、コースマネジメントの両方が大切なスポーツ。スイングが良くなってきた子どもには、飛距離アップを目指させ、スコアアップにつなげていくように指導したい」。椛島敏文監督も今年はワンランク上の指導を目指す考えだ。将来の国体選手、プロゴルファーを育てる土壌が愛媛に生まれつつある。

---------------------------
★質問、応援メッセージ大募集★
※質問・応援メッセージは、こちら>> art1524@ninomiyasports.com 「『DAIKI倶楽部』質問・応援メッセージ係宛」

---------------------------------
関連リンク>>(財)大亀スポーツ振興財団

(石田洋之)
◎バックナンバーはこちらから