今回の東北地方太平洋沖地震でお亡くなりになった方、そしてご遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。そして被災地の皆様に心からお見舞い申し上げます。
 現在、国会では与野党の垣根を越え、一丸となって被災地支援、そして復興に取り組もうとしています。僕は災害対策特別委員会の理事を務めていることもあり、各省庁から情報収集をしながら、どのような支援策を打ち出すべきか、他の議員の皆さんとともに話し合っているところです。
 今回の震災は地震のみならず、直後に東北沿岸部を襲った大津波、そして福島第一原発からの放射能漏れと、まだ被害がどこまで広がるか分かりません。刻々と変化する状況に合わせて、今すぐ手を打たなくてはならないこと、1週間以内にやらなくてはならないこと、1カ月以内に必要なこと、半年後に求めれることを逐一見極め、同時進行で進めていく必要があると考えています。

 16年前の阪神淡路大震災では5年間で5兆200億円を被災者支援や復興のための予算として設けました。今回は予算規模も期間も、それを大幅に上回ることになるでしょう。最低限、必要な施策を除いては、これから予算を組み替え、被災地への財源に充てることも考えなくてはなりません。今回の震災に対し、多くの国民の皆さんや企業から支援の輪が広がっています。先日も松山市内で募金活動を実施しましたが、本当に多くの方にご協力をいただきました。今こそ、そういった思いに政治が応える番だと感じています。

 スポーツ界でも震災の影響でJリーグやプロ野球をはじめ、多くのイベントが中止、延期になりました。東北の被災地はもちろん、東京電力管内で計画停電が実施されているなか、多量の電力が必要なナイトゲームや室内での試合を実施するのは現時点では難しいでしょう。プロ野球の開幕延期にあたっては、ある球団が「お上(政府)が決めることではない」と不快感を表明したと報じられました。それは、その通りです。日本は民主主義の国ですから、政府が一スポーツの有り方について、あれこれ口を出すべきではありませんし、また、本来はそういうことがあってはならないと考えます。その意味で今回、文科省などがプロ野球に対して要請を出さなくてはならなかったのはとても残念です。政治が介入する前に、組織内で状況を把握し、よりよい対応策を考えてほしかったと思います。

 とはいえ今後の復興に向け、人々に夢や希望を与えられるスポーツの力は小さくないと僕は信じています。甲子園では春のセンバツが予定通り開催され、29日には大阪でサッカーの日本代表とJリーグ選抜によるチャリティーマッチが行われます。政治の世界で被災地のみなさんをサポートする政策を実現することはもちろん、それだけでは足りない部分に元スポーツ選手として力になれることがあれば、進んで取り組んでいくつもりです。

 震災を通じ、残念ながら日本が長年抱えていた問題点があらわになってきています。いつ災害が起きても対応できる町づくりやシステムが本当にできていたのか。原子力に依存したエネルギー政策が正しかったのか……。1万人を超える尊い命が奪われ、20万人を超える皆さんが不自由な避難生活を余儀なくされていることを思うと、ここから政治が学び、早急に議論しなくてはならないことがたくさんあります。

 現在、避難生活や停電などで不便をかけている皆さんには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。まずは、すべてを被災地支援に。続いて1日も早い復興を。そして未来へ新しい日本のかたちをつくる。党派やそれぞれの利害を乗り越え、国民の皆さんが安心して暮らせるよう全力を尽くします。ともに手を取り合って、この困難を乗り越えましょう!



友近聡朗(ともちか・としろう):参議院議員
 1975年4月24日、愛媛県出身。南宇和高時代は全国高校サッカー選手権大会で2年時にベスト8入りを果たす。早稲田大学を卒業後、単身ドイツへ。SVGゲッティンゲンなどでプレーし、地域に密着したサッカークラブに感動する。帰国後は愛媛FCの中心選手として活躍し、06年にはJ2昇格を達成した。この年限りで現役を引退。愛称はズーパー(独語でsuperの意)。07年夏の参院選愛媛選挙区に出馬し、初当選を果たした。
>>友近としろう公式HP
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