激動の2011年も、あと1週間で終わろうとしています。3月11日の東日本大震災、そして、その後の原発事故は日本のパラダイム転換を迫るものとなりました。今年の漢字に「絆」が選ばれたことから分かるように、物質的な豊かさを求めるだけではなく、人間として生きる、人間らしく生きることの意味を考える1年になったように感じます。
 そんな中、国民の生活をサポートする立場にあるべき政治は、決して機能しているとは言いがたい状況が続きました。2010年の参院選で与野党の“ねじれ”が再び生じて以降、「政策よりも政局」の色合いが濃くなっています。震災対応では与野党がタッグを組んだとはいえ、それも限定的。被災地の皆さんが大変な生活を強いられているにもかかわらず、政治がリーダーシップをとれなかった点は、率直にお詫びしなくてはなりません。

 国会が9日に閉会し、政界は2012年に向けて動き出しています。来年度予算案の編成が大詰めを迎え、消費税も含めた税制改正の議論も行われています。野田佳彦首相は消費税増税の素案を年内にも取りまとめたい方針です。しかし、以前にも書いたように消費税増税の前にはやるべきことがあります。

 それはムダの削減です。前回の参院選のマニフェストでは「ムダづかいと天下りを根絶し、財政を健全化させます」と国民の皆さんにお約束しています。具体的には「参議院の定数を40程度削減します。衆議院は比例定数を80削減します」と国会議員の定数削減を真っ先に掲げているのですが、選挙から1年以上経った今も手付かずのままになっています。

 野田首相は来年の通常国会で定数削減を実現させる意向を示しました。ただ、先の臨時国会でも「野党の協力が得られない」と、この話は先送りになっています。どこまで本気なのか、国民の皆さんは半信半疑で見ているのが現状でしょう。与党議員のひとりとして、首相には早期実現を強く働きかけたいと考えています。

 週末、地元に帰ると皆さんから厳しい指摘を多数いただきます。09年の政権交代時に寄せられた期待は失望に変わり、「これなら、まだ自民党のほうがいい」との声さえあります。民主党への信頼はどんどん小さくなっているといっていいでしょう。

「信なくば立たず」との言葉もあるように、政治は信頼なくして成り立ちません。残念ながら信頼が失われつつある今、いくら「あれをやります」「これをやります」と新たな政策を提案したところで皆さんの共感は得られないでしょう。

 信頼を取り戻す方法はただひとつ。国民の皆さんにお約束したことをひとつでも実行に移すことです。その第一歩がマニフェストにもあるムダの削減でしょう。たとえ100%はできなくても、80%でも60%でも身を削る姿勢をみせない限り、消費税増税を認めることはできません。

 震災で日本全体が暗いムードで包まれた中、元気をもらったのはスポーツでした。特になでしこジャパンの優勝は現地で観戦したこともあり、その光景が心に強く残っています。スポーツ政策の面でも今年は大きな成果がありました。6月にはスポーツ基本法が成立。この法律に基づいてスポーツ基本計画の作成も進んでいます。2012年は五輪イヤーです。夏にはロンドンからたくさん朗報が届くでしょう。スポーツの力で国民生活をもっと豊かなものにすべく、政治の世界からしっかりバックアップしていこうと思っています。

 2012年こそ、政治の力で日本を明るくできる1年にしたいものです。個人的にも国会で仕事を始めて早5年目。引き続き初心を忘れず、国民の皆さんの声に耳を傾けながら活動していく決意です。新たな年が素晴らしい1年になるよう全力で頑張ります。よろしくお願いします。


友近聡朗(ともちか・としろう):参議院議員
 1975年4月24日、愛媛県出身。南宇和高時代は全国高校サッカー選手権大会で2年時にベスト8入りを果たす。早稲田大学を卒業後、単身ドイツへ。SVGゲッティンゲンなどでプレーし、地域に密着したサッカークラブに感動する。帰国後は愛媛FCの中心選手として活躍し、06年にはJ2昇格を達成した。この年限りで現役を引退。愛称はズーパー(独語でsuperの意)。07年夏の参院選愛媛選挙区に出馬し、初当選を果たした。
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