二宮: 2杯目は、ぜひオススメの飲み方を試していただきたいと思っています。それはソーダ割りです。「那由多(なゆた)の刻(とき)」をソーダで割ると、さらに爽快感が増して、この季節にはピッタリだと感じますが……。
清水: ソーダ割りですか? そんな飲み方、初めて知りました。焼酎とソーダという組み合わせができるなんて想像もつかなかったです。

二宮: まずは一口どうぞ。
清水: あっ、おいしい。僕は基本的には焼酎はロックで飲むタイプなんですけど、これはなかなかイケますね。

 メディア対応も大切な準備

二宮: 前回、五輪に向けた「準備力」を話題にしましたが、清水さんはどのくらいの時期から本番に向けた準備を始めていたのでしょうか。
清水: それはかなり前から始めていましたね。五輪までに、どの試合に出て、どこで勝っておくかという計算はかなりしていました。メディアに対しても、どう情報を発信するか考えていたんですよ。

二宮: メディアでの取り上げられ方も計算の中に入っていたと?
清水: ここで勝って、こんな発言をしたら、新聞やテレビではこのくらいの分量で取り上げられるだろうなと考えながら競技をしていました。スピードスケートはメジャーなスポーツではありませんから、世界で好成績を収めても、なかなか大きくは取り扱ってもらえない。スピードスケートの価値を高めていく上で、メディア対応なども含めて、いろいろとプランを練っていたことは確かですね。

二宮: なるほど。そうやって注目度を高めて応援していただける方を増やし、自分の力につなげていったわけですね。こういった意識を持ち始めたのはいつ頃ですか?
清水: 93年のW杯で初出場初優勝した時ですね。初めての舞台で勝つのは決して簡単なことではないのに、新聞の扱いはそれほど大きくなかった。ところが、その後、スキージャンプで船木和喜選手が同じくW杯初出場初優勝した際には、スポーツ新聞の一面を飾ったんです。この差は何だろうと疑問に思ったのがきっかけですね。いろいろ考えていくうちに、ただ単に勝つだけではなく、競技に対する認知度を高める活動もしないと、環境も良くならないと感じるようになりました。

 生涯スポーツの推進を

二宮: 現役を退いて、いずれは指導者として再び金メダルを目指したいという気持ちは?
清水: 今はあまりないですね。スケートに関しては現役時代、やるだけのことはやりました。とても充実した日々で満足しています。だから、現時点では少し距離を置いたほうがいいかなと感じています。

二宮: 引退後はテレビのコメンテーターを務めたり、ご自身が小さい頃から患っていた喘息治療の啓発活動をしたりと、活動の場が広がっています。
清水: 特に代表やひとつのチームにこだわらなくても、僕の経験を伝える場はいろいろある。逆に今の立場のほうが自分のやってきたことを多くの方に発信できるチャンスだととらえています。

二宮: とはいえ、今年3月の世界距離別選手権では日本勢が大会始まって以来、初のメダルなしに終わるなど、フィギュアスケートと比べると影が薄くなっているのも事実です。清水さんの力が必要になる時も近いのではないでしょうか。
清水: 長島圭一郎選手にしても、加藤条治選手にしても、もちろんアドバイスを求められれば、自分なりのメソッドは教えられるつもりです。ただ、もっと大事なのは彼らの下の世代。ジュニアたちをしっかり育てていくことが競技の発展につながると思っています。

二宮: その考えには賛成です。ピラミッドをイメージすると分かりやすいのですが、土台がしっかりしているから頂点が高くなる。普及、育成、強化。この順番を手抜きしてトップ選手だけを指導していても、真の競技力向上にはつながりません。
清水: 競技スポーツに限らず、生涯スポーツを推進する上でも若手を育てることは大切です。若い頃からスポーツの習慣が身につけば、年齢を重ねても定期的に体を動かすことを楽しむようになるでしょう。適度な運動をすれば、健康も維持できますから医療費の削減にもつながります。底辺拡大とよく言いますが、“底辺”という表現はあまりふさわしくありません。底辺ではなく、スポーツの“裾野”を広げる。そんな活動をこれからも続けていきたいと考えています。

二宮: 逆に言えば、若手が台頭してくる環境が整うまでは、少しトップレベルでの日本勢の戦いは苦しくなると?
清水: そうですね。残念ながら今は「この選手が楽しみだ」「あの選手はメダルが獲れる」と思わせてくれる若い人材が不足しています。日本のスピードスケート界の勢力図を塗り替えるような勢いのある選手がいない。だから、どうしても加藤選手のように、ある程度、年齢が上の選手に頼らざるを得ないのが現状です。メディアに対しても新しい話題やストーリーを提供できないでいますから、どうしても注目度も下がってしまう……。

 双子の兄弟が世界を変える!?

二宮: その点、清水さんは4度の五輪出場はもちろん、スピードスケート界では初のプロ転向、4度の世界記録更新と、常に「次は何をやってくれるのか」とワクワク感を抱かせてくれる選手でした。
清水: 記録に関しては500mで33秒台を達成できなかったのは心残りでした(自己ベストは34秒32)。たった0.3秒ですが、破れそうで破れなかった。

二宮: 現在の世界記録はジェレミー・ウォザースプーン(カナダ)が5年前に記録した34秒03。世界的にも33秒台の壁があるようですね。
清水: でも、おそらく2年以内には33秒台に突入するのではないでしょうか。最近、オランダですごい双子の兄弟が現われました。ミシェル・ミュルデルとロナルド・ミュルデル。映像で観たんですけど、ものすごく速い。スピードが出過ぎて、両足滑走するくらい滑りは荒削りなのに、タイムもしっかり出ている。順調に伸びれば、きっと世界記録を更新するレベルの選手になるはずです。実は彼らとは誕生日が一緒なので、個人的にも注目しています(笑)。

二宮: 「那由多(なゆた)の刻(とき)」のソーダ割り、早くもグラスが空になりました(笑)。
清水: とても飲みやすいので、ついつい、たくさん飲んで酔っぱらいそうです。このソーダ割りは食事にも合いそうですね。味が濃かったり、脂っこいものを食べても口の中をリフレッシュしてくれます。

二宮: 料理は普段、自分でつくって食べるタイプ?
清水: はい。自分で言うのも何ですが、結構、得意なほうだと思います(笑)。日本食で魚をさばいて煮付けもつくりますし、最近は天ぷらを家で揚げて食べるようになりました。現役時代はハムの脂身を取り除いて食べるくらい、食事に気を使っていましたが、今はその時、食べたいものを楽しくいただいています。

二宮: どんな料理が特に好きですか?
清水: 個人的には鶏料理ですね。地元の北海道では「ザンギ」という鶏の唐揚げをよく食べます。ニンニクをたっぷり入れて、本当においしい。ソーダ割りには鶏の煮込みとかを肴にするとピッタリかもしれません。

二宮: では今度は、おいしい鶏とともに話の続きを。
清水: ぜひ、お願いします。このソーダ割りはお気に入りの飲み方になりそうです。プライベートで飲みに行く時には、ぜひ、みんなに勧めたいと思います。

(おわり)
※現在発売中の『自遊人』8月号では、この対談の特別編が掲載されています。こちらも合わせてお楽しみください。

<清水宏保(しみず・ひろやす)プロフィール>
 1974年2月27日、北海道生まれ。幼稚園からスケートを始め、93年にはスピードスケートW杯で初出場初優勝の快挙を達成する。五輪は翌年のリレハンメル大会から4連続出場。98年長野五輪500mで金メダル、1000mで銅メダルを獲得。02年のソルトレークシティ五輪では500m銀メダル。96年に500mで35秒39の世界新記録を樹立すると、以降、01年に34秒32をマークするなど世界記録を4度更新。10年に現役引退。現在はテレビのコメンテーターなどを務めるほか、自身の体験を生かした喘息の啓発活動、スポーツ普及活動にも取り組んでいる。著書に『ぜんそく力 ぜんそくに勝つ100の新常識』(ぴあ)、『プレッシャーを味方にする心の持ち方』(扶桑社新書)。
>>オフィシャルブログ


★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

長期に渡り、樫樽の中で貯蔵熟成した長期貯蔵の本格そば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」。豊かな香りとまろやかなコクの深い味わいが特徴。国際的な品評会「モンドセレクション」2012年最高金賞(GRAND GOLD AWARD)受賞。

提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
膳菜や
東京都新宿区市谷八幡町2−1 大手町建物市ヶ谷ビル8階
TEL:03-5261-9751
営業時間:
昼 11:30〜14:30(L.O.14:00)
夜 17:00〜23:00(月〜木、L.O.22:30)
   17:00〜23:30(金、L.O.23:00)
   16:00〜22:30(土・祝、L.O.22:00)

☆プレゼント☆
 清水宏保さんの直筆サイン色紙を長期貯蔵本格そば焼酎「那由多(なゆた)の刻(とき)」(720ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「清水宏保さんのサイン色紙希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選は発表をもってかえさせていただきます。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、清水宏保さんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:石田洋之)


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