1日「バレーボール世界最終予選」(男子)が東京体育館で行なわれ、日本は第2戦で同じアジア勢のイランと対戦。終始攻めの姿勢を崩さなかった日本は、セットカウント3−1でイランを下し、通算成績を1勝1敗とした。

(写真:アタック決定率62.5%をマークしたWS越川)
日本 3−1 イラン
(25−19、25−17、23−25、25−22)
「昨夜、みんなと話をしていても気持ちを切り替えられていると感じていた」
 そうWS越川優が語るように、植田ジャパンは前日の敗戦のショックを完全に吹っ切り、気持ちを切り替えていた。
 注目された第1セット、日本は序盤から前日とはうってかわって攻めのサーブでイランを翻弄する。途中、S宇佐美大輔とアタッカーとのコンビミスが見られたが、サイドの山本隆弘、越川、石島雄介が次々とスパイクを決め、このセットを先取した。

 第2セットは序盤、1−3とイランにリードを奪われるものの、WS山本の強烈なジャンプサーブが決まるなど4−3とすぐに逆転。その後もS宇佐美、MB松本慶彦のサーブポイントが決まるなど、リズムに乗った日本は8ポイント差をつけて、第2セットを取った。

 このまま一気に試合を決めたい日本だったが、第3セットは自らのサーブミスなどで接戦にもちこまれた。中盤にはこれまでほとんど機能していなかったセンター攻撃が炸裂するなど、流れは日本にあった。だが、イランが脅威の粘りを見せて終盤に逆転。結局、日本はこのセットを落としてしまった。

(写真:第4セットではいいところでブロックが出たMB山村) 迎えた第4セットは相手のサーブミスにも助けられ、日本が序盤にリードを奪う。イランも高さをいかしたブロックで反撃。しかし、日本は負けじとMB山村宏太が2本続けてブロックを決め、お返しする。最後はWS越川が強烈なスパイクを相手コートに叩きつけゲームセット。植田ジャパンは今大会初勝利を挙げ、北京五輪に一歩前進した。

 前日との一番の違いはサーブだった。前日、3本だったサービスエースは、この試合では9本と数字を見ても、その差は歴然だ。
イタリア戦ではWS山本こそ強烈なサーブを放っていたものの、チーム一豪快なサーブの持ち主、WS越川は、決して思いっきり打ってはいなかった。WS石島もリーグ戦で故障した肩を気にしていたのか、いつもの強打ではなかった。

 だが、彼らはその反省点をいかした。第1セットから弾丸サーブが次々と放たれ、相手の攻撃の芽を摘んだのである。山本、越川、石島のジャンプサーブのみならず、意外にも効果的だったのがMB松本のサーブだった。松本のサーブは決して速くはない。だが、経験の浅さから、無回転のフローターサーブにイランの選手が対応しきれなかったのだという。

 一方、攻守ともにセンター線がもう一つ機能していないことが今後の課題だろう。MB松本本人も「ブロックと速攻でチームに貢献できていないので、早めに修正しなければならない」と語っている。
 その要因の一つは、S宇佐美のトスワークにあることは明確だ。植田監督はS宇佐美について次のように述べた。

「世界のトップクラスと戦うためには、トスワークが大事になってくることは本人にも言っている。サーブレシーブからのコンビネーションはいいとして、カウンターアタックの時のディフェンスからの切り返しのトスが慌てるケースがある。また、クイックに対しては持ちすぎているためにアタッカーとのタイミングが合っていない。明日一日で修正していきたい」
 アタッカーを生かすも殺すもセッター次第。今後、宇佐美とアタッカー陣のコンビネーションがどこまで修正できるかが、北京五輪出場のカギを握る。
(写真:司令塔・宇佐美のトスワークが勝敗のカギを握る)

 次戦は永遠のライバルと言われる韓国と対戦する植田ジャパン。勝つことはもちろんだが、強敵・豪州を前にどこまでチームとして仕上げられるかという点においても韓国戦の内容は重要である。果たして、どんな戦いを見せてくれるのか、注目の一戦となりそうだ。

(写真・斎藤寿子)