北京五輪代表選考会を兼ねる陸上の日本選手権が6月26日から29日まで、川崎市等々力陸上競技場で行われる。
 昨年、大阪で開催された世界選手権で不振が続いた日本勢だが、北京五輪への弾みをつけるためにも今大会でハイレベルな戦いとともに好記録に期待したい。五輪参加標準記録A突破者が優勝すれば自動的に代表に決定する。
 五輪2連覇を狙うアテネ五輪金メダルの男子ハンマー投げの室伏広治(ミズノ)は自身が持つ史上最多優勝記録を更新する14連覇がかかる。春先に腰を痛め、今大会がシーズン初戦となるが、連覇と五輪切符獲得は確実だろう。80メートルを超える好記録で北京五輪へとつなげたいところだ。

 男子400メートル障害は、為末大(APF)と成迫健児(ミズノ)の両エース対決に注目だ。世界選手権で2度メダルを獲得し、3度目の五輪出場がかかるベテラン・為末だが、春先に痛めた両ふくらはぎの故障などの影響で、今シーズンは不調に苦しんでいる。持ち前の調整力とここ一番での勝負強さに期待したい。
 一方の成迫は好調が続いている。昨年、最後のハードルを越えてから為末に逆転を許しているだけに、優勝への思いは強いはずだ。元来は後半型だったが、前半から積極的なレース展開を見せ、5月の静岡国際、大阪国際GP、北京でのプレ五輪と3連勝している。
「日本選手権では47秒台を狙いたい」と意欲を見せる伸び盛りの成迫と、経験豊富なベテラン為末の熱を帯びた対決はどちらに軍配が上がるのか。

 8人ものA標準突破者が出た女子1万メートルは熾烈な代表切符争いとなりそうだ。中でも、6連覇中の福士加代子(ワコール)と、渋井陽子(三井住友海上)の優勝争いからは目が離せない。
 初マラソンとなった1月の大阪国際女子マラソンで惨敗を喫した福士は、トラックでの代表入りが有力。春先に痛めた左ふくらはぎの回復具合が気になるところだ。
 一方、渋井は昨年11月の東京国際女子マラソンで敗れ、マラソンでの五輪出場を逃したが、その後、駅伝やトラックでは好調が続いている。今シーズンは、4月の兵庫リレーカーニバル1万メートルで自己2番目の記録となる31分19秒73をマーク。「日本選手権は勝ちにいきたい」と強気の発言が好調を物語る。
 2強を追うのが、ママさんランナーの赤羽有紀子(ホクレン)、小出門下の脇田茜(豊田自動織機)、松岡範子(スズキ)ら。3枚目の切符争いも熾烈となりそうだ。

 このほか、北京五輪でリレーでの活躍に期待がかかる男子短距離の朝原宣治(大阪ガス)、塚原直貴(富士通)、末続慎吾(ミズノ)の走りにも注目。男子走り高跳びの醍醐直幸(富士通)、男子棒高跳びの沢野大地(ニシ・スポーツ)、女子走り幅跳びの池田久美子(スズキ)は好記録で五輪へ弾みをつけてほしい。

陸上日本選手権
6月26〜29日、川崎市等々力陸上競技場

<決勝日程>
■6月26日
男子1万メートル、十種競技前半、女子棒高跳び、女子三段跳び、女子ハンマー投げ、女子やり投げ、七種競技前半

■6月27日
男女200メートル、男女400メートル障害、男子ハンマー投げ、十種競技後半、女子1万メートル、女子走り高跳び、女子走り幅跳び、女子砲丸投げ、七種競技後半

■6月28日
男女800メートル、男子5000メートル、男子110メートル障害、男子棒高跳び、男子走り幅跳び、男子砲丸投げ、男子円盤投げ、女子100メートル障害、女子3000メートル障害物

■6月29日
男女100メートル、男女400メートル、男女1500メートル、男子3000メートル障害物、男子走り高跳び、男子三段跳び、男子やり投げ、女子5000メートル、女子円盤投げ