ジャパンラグビートップリーグ2008−2009シーズンの開幕を1週間前に控えた29日、全14チームの監督、キャプテンらが一同に都内に会し、来るシーズンへの意気込みを語った。連覇を狙うサントリーサンゴリアスの清宮克幸監督は、「開幕戦が他のチームより1日早く、非常に名誉なことで楽しみ。と同時に責任もある。今年の日本ラグビーの象徴となる試合をしたい」と力強く宣言した。
(写真:開幕で戦う(左から)サントリー・清宮監督、山下キャプテンと三洋・三宅選手、飯島監督)
 6年目を迎えたトップリーグは、4シーズンぶりに復帰した近鉄ライナーズと、初昇格となる横河武蔵野アトラスターズの2チームが新たに加わった。昇格組とはいえ、いずれも社会人ラグビーの古豪。実力差は縮まっており、プレーオフ進出4チームの座をめぐる争いは熾烈を極めそうだ。

 トップリーグの真下昇チェアマンは「5年を一区切りとすると、第2ステージの初年度」と今シーズンを位置づけた。過去5年間を、「昨年のフランスW杯では勝てなかったが、カナダ戦で(引き分けて)連敗を止めた。実績はつくれた」と総括。「しかし、激しい戦いの中で、より上を目指していかないと世界に取り残される」とトップリーグの活性化をはかっていく方針を示した。

 今季のリーグ戦ではルール改正などがあり、これまでとは異なる点が多い。まず外国籍の出場選手が3名までに拡大された。これに伴い、元ニュージーランド代表主将のルーベン・ソーン(ヤマハ発動機ジュビロ)、元オーストラリア代表主将のジョージ・グレーガン(サントリー)など、実績あるプレーヤーが次々と来日。よりレベルの高いプレーをみせてくれるだろう。

 また国際ラグビー連盟(IRB)が決定した試験的ルールも導入される。たとえば、スクラムを組んだ際のオフサイドラインが最後尾から5メートル後ろとなり、攻撃のバリエーションは広がることが予想される。他にも自陣22メートル内に持ち込んだボールをダイレクトでタッチライン外に蹴り出して、地域獲得することが認められなくなった(キックした地点でのラインアウトに)。防御側はむやみに外へ蹴るのではなく、カウンターアタックのスキルを磨くなどの対策を求められる。より攻撃的なラグビーを目指した新ルールへの適応が勝敗を左右することは間違いない。

 開幕の第1節は昨季王者のサントリーと、日本選手権を制した三洋電機ワイルドナイツがいきなり激突する。昇格組の直接対決・近鉄−横河戦、九州ダービーとなる福岡サニックスブルース−コカ・コーラウエストレッドスパークス戦など、シーズンのスタートにふさわしい好カードが目白押しだ。

 会に出席した日本ラグビー協会の森喜朗会長は、「日本はIRBの加盟国で選手数は5番目に多い。チーム数は3番目に多い。これは意外と知られていない。ラグビーをグローバル化し、世界的な競技にするため、日本はその一翼を担っていかなく必要がある。トップリーグは日本のトップを目指すだけではなく、世界に対する挑戦へのステップの場となってほしい」と、監督、選手たちを激励した。
(写真:森会長にサントリー・清宮監督がトップリーグ杯を返還)

 トップリーグは9月5日(金)のサントリー−三洋電機戦を皮切りに、過去最多の28都道府県、34会場で全91試合を実施。プレーオフも含めた全試合で、昨年を約8万人上回る40万人の観客動員を目標に掲げている。上位4チームがトーナメント方式で争うプレーオフ「マイクロソフトカップ」は2月1日にセミファイナル、2月8日にファイナルが行われる。この「マイクロソフトカップ」では、トライ時のグラウンディングの有無などを確認するため、初のビデオ判定を導入する。

<トップリーグ2008-2009開幕カード>

9月5日(金)
 サントリーサンゴリアス×三洋電機ワイルドナイツ (東京・秩父宮、19:30)
9月6日(土)
 近鉄ライナーズ×横河武蔵野アトラスターズ (大阪・長居、17:00)
 神戸製鋼コベルコスティーラーズ×NECグリーンロケッツ (大阪・長居、19:00)
 福岡サニックスブルース×日本IBMビッグブルー (福岡・レベスタ、17:00)
 九州電力キューデンヴォルテクス×コカ・コーラウエストレッドスパークス (福岡・レベスタ、19:00)
 トヨタ自動車ヴェルブリッツ×東芝ブレイブルーパス (愛知・瑞穂、18:00)
9月7日(日)
 ヤマハ発動機ジュビロ×クボタスピアーズ (石川・西部緑地、17:00)