ラグビー・トップリーグのプレーオフトーナメント、マイクロソフトカップに出場する4チームの指揮官が21日、都内に集結して会見を行なった。連覇を目指すサントリーサンゴリアスの清宮克幸監督が、「最終節(トヨタ自動車に38-6と快勝)で、自信を取り戻した」と笑顔で語れば、初のプレーオフ進出となる神戸製鋼コベルコスティーラーズの平尾誠二GM兼総監督が、「がっちり守って少ないチャンスをモノにする。“おしん”みたいなラグビーをしたい」と意気込みをみせるなど、熱い前哨戦が繰り広げられた。
(写真:会見後には、ラグビーファンを前にしたトークバトルも実施された)
 上位4チームによるプレーオフ制が導入されて3シーズン目。今回のトーナメントはラグビーファンにとって楽しみな組み合わせとなった。まずはレギュラーシーズン1位の東芝ブレイブルーパスと同4位の神戸製鋼。そして昨年は決勝で顔を合わせた三洋電機ワイルドナイツ(リーグ2位)とサントリー(リーグ3位)がいきなり激突する。

 東芝は最終節で三洋電機相手に62−13と大勝して、逆転で1位通過を決めた。年明けに所属外国人選手が逮捕されたこともあり、会見の冒頭、和田賢一監督代行は「不祥事に対してお詫びしたい。より多くのご声援をいただき、感謝している」と謝罪。しかし、結果的にチームが団結し、「最後の2戦はいい試合ができた」と振り返る。今季は接点の強さが際立っており、「ラグビーはルールのある格闘技。強みである接点を全面的に出しながら、ダイナミックにボールを動かしたい」と2年ぶりの優勝へ手ごたえをみせた。

 対する神戸製鋼は強豪のイメージが強いが、意外にも今回がプレーオフ初出場。最終節に勝利し、最後の枠に滑り込んだ。とはいえ相手の東芝には今季、レギュラーシーズンで42−16と勝利し、唯一の黒星をつけている。平尾総監督は「いい意味で自信にしたい」と、その再現を狙う。現役時代は「オープンラグビー」を持ち込んで、社会人ラグビーを大きく変えた。「あれや、これややらないといけない」。プレーオフ用の作戦を綿密に練り、日本ラグビーに旋風を起こす。
(写真:「我々はチャレンジャー」と語る平尾総監督(右)と東芝・和田代行)

 2位の三洋電機は最終節で首位を陥落し、リーグ戦の連勝も25でストップした。だが、「あきらめない、いい試合ができた」と飯島均監督はシーズンを前向きに評価する。元ニュージーランド代表のSOトニー・ブラウンらを主力を欠きながらも代役の選手が活躍。「みんなが活躍すれば結果は出る」。選手層の厚さに自信を深めた。そのブラウンも練習には参加しており、プレーオフで復帰の可能性も出てきている。「最後、東芝に大敗して悔しくて眠れなかった。今もまだ悔しい」。サントリーを撃破した上で、決勝での雪辱を誓った。

「点を取れずに前半リードされて折り返す試合が多かった」
 3位に終わった原因をこう分析したのは対戦相手のサントリー清宮監督だ。ただ、太もものケガで欠場していた日本代表CTBニコラスが復帰する予定で、不安材料はなくなった。三洋電機には昨年の決勝で勝ったものの、その後の日本選手権、今季の開幕戦と連敗中。勝負のポイントはセットプレーと語る指揮官は「奇策をこれから練ります」と敵将を揺さぶってみせた。

 トップリーグの真下昇チェアマンは「前年、一昨年とクロスゲーム、緊迫した試合が続いている」と、プレーオフ制のプラス面を強調。「今シーズンも中身の濃い試合になるのではないか」と期待を寄せた。リーグ戦とは違い、トーナメントは一発勝負。互いに火花を散らす激闘が2月1日、キックオフを迎える。

<マイクロソフトカップ試合日程>

2月1日(日)14時 準決勝
 東芝ブレイブルーパス−神戸製鋼コベルコスティーラーズ(秩父宮ラグビー場)
 三洋電機ワイルドナイツ−サントリーサンゴリアス(近鉄花園ラグビー場)

2月8日(日)14時 決勝 (秩父宮ラグビー場)