ラグビー・トップリーグの東芝ブレイブルーパスは13日、所属するクリスチャン・ロアマヌに1月のドーピング検査で大麻成分が検出されていた問題で、再検査の結果も陽性反応だったことを発表した。東芝は同日付でロアマヌを退部処分とし、22日の日本選手権準決勝への出場を辞退することを決めた。この結果、15日のサントリーと早稲田大学の勝者が、準決勝は不戦勝となり、決勝に進出する。
 検査結果が確定したことを受けて、日本ラグビー協会は規律委員会を開催。ロアマヌに対し、国内で開催される公式試合の無期限出場停止処分を下し、東芝に厳重注意を行った。ロアマヌは日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の通達に基づき、当該試合となるトップリーグ第12節(サントリー戦)の出場記録、個人記録を取り消される。このため、ロアマヌの今季通算トライ数は12となり、三洋電機ワイルドナイツの北川智規も同数で最多トライゲッターとなることが決まった。

 東芝は処分を受けて、ロアマヌを退部にしたほか、既に所属選手の窃盗事件で謹慎していた瀬川智広監督の謹慎期間を3月末まで延長。企業スポーツ担当役員の報酬を3月末まで10%返上する。また管理部門の新設や、ドーピングに関する再教育の実施など再発防止策を打ち出した。

 東芝は1度目の検査で陽性が出た際に発表した通り、すぐに選手権の出場辞退を決定した。ただ、いくら所属選手の不祥事とはいえ、これは行き過ぎではないか。今回の騒動に関して他の選手は何の落ち度もない。トップリーグで優勝したにもかかわらず、選手たちが謝罪を繰り返す光景は見ていて痛々しかった。何より、日本一を決める舞台でのトップリーグチャンピオンの不在は、ラグビーファンの楽しみを奪うことになる。

 もちろん、ロアマヌの行為自体は許されるものではない。だが、トップリーグのプレーオフ決勝同様、どんな状況であれ、ピッチでプレーを見せることもひとつの責任の取り方だ。過度の連帯責任は、かえって責任の所在を見えにくくする気がしてならない。