22日、陸上世界選手権8日目で男子4×100mリレー決勝が行われ、北京オリンピックに続くメダル獲得を根ざした日本(江戸里、塚原、高平、藤光)は38秒30で4位に終わり、メダルには届かなかった。金メダルはジャマイカで37秒31の大会新記録で快勝。第3走を務めたウサイン・ボルトが100m、200mに続き3つ目の金メダルを手にした。
 予選を4位で通過した日本チーム。第1走者の江里口匡史(早大)が先頭から離されないよう世界を代表するスプリンターたちにくらいつき、塚原直貴(富士通)はバックストレッチを懸命に疾走する。ボルトと同じ第3走を務めた高平慎士(富士通)もコーナーをうまく回りつつ、スピードを上げていった。アンカーの藤光にバトンが渡った時には英国に続く4位。必死に前を追うものの差は縮まらずそのまま4位でのフィニッシュ。北京に続くメダル獲得はならなかった。

 だが、過去の世界陸上では日本チームの最高成績は5位(95年イエテボリ大会、01年エドモントン大会、07年大阪大会)。それを更新する激走で、個人競技ではいいところを見せることができなかった4選手はリレーで結果をしっかりと残した。

「4人がこの場の雰囲気にのみ込まれず、役割を果たせた。一抹の不安もあったが、選手それぞれが自覚を持ち、しっかり勝負できた」とレース後に語った塚原。高平は「希望が持てる4位。北京五輪から2人が抜け、新生チームでこれだけできたのは価値がある。メダルを獲得するには37秒台が必要」と今大会の手ごたえと今後の課題を口にした。

 正確なバトンテクニックとチームワークで日本の新しい“お家芸”となりつつある4×100m。ベルリンでは惜しくもメダルに届かなかったが、次回の韓国・テグ大会や3年後のロンドンオリンピックでは北京オリンピックの再現に期待したい。

 また、37秒31の記録で優勝したジャマイカチーム。最大の目標であった“世界新3冠”はならなかったものの、3つ目の金メダルを獲得したボルトは「北京で達成したことをほぼ再現でき、昨年がジョークでないことを示せた。金メダルを取ることが第一の目標だったので満足」と答え、今大会の自身の走りを振り返った。

 今後の短距離界はボルトがどこまで記録を伸ばすのか、そして誰がボルトを止めるのか。この2点が最大の話題となる。“ジャマイカの超人”を中心に陸上界が動いて行くことは間違いないなさそうだ。23歳の絶対王者の走りと進化から、今後も目が離せない。

<男子4×100m>
決勝
1位 ジャマイカ 37秒31
(マリングス、フレイター、ボルト、パウエル)
2位 トリニダード・トバゴ 37秒62
3位 英国 38秒02
4位 日本 38秒30
(江里口匡史、塚原直貴、高平慎士、藤光謙司)