ボストン・レッドソックスの田澤純一投手が23日、本拠地のニューヨーク・ヤンキース戦でメジャーリーグ昇格後、3度目の先発を果たした。田澤は初回のピンチを5番DHの松井秀喜を打ちとって切り抜けると、2回以降も毎回走者を背負う投球ながら、ヤンキース打線を0点に抑え、6回8安打無失点で2勝目(2敗)をあげた。田澤は松井との対決でも3打数無安打と“勝利”。試合はレッドソックスが14−1で大勝した。
 チームにとっても自身にとっても負けられない戦いを粘りの投球で制した。前回のレンジャーズ戦は6回途中4失点でKOされ、迎えたヤンキース戦。田澤がメジャー初登板でアレックス・ロドリゲスにサヨナラ本塁打を浴び、初黒星を喫した相手だ。ア・リーグ東地区首位を走るヤンキースとレッドソックスのゲーム差は7.5で、チームが苦況の中、巡ってきた先発マウンドだった。

 立ち上がりが不安定な田澤は、この試合も初回にピンチを招く。1死からニック・スウィッシャーに2塁打を浴び、マーク・テシェイラには死球を与えて1、2塁。しかし、前回サヨナラ弾を打たれているA・ロッドをセンターフライ、続く松井秀喜もレフトフライに打ちとって窮地を切り抜ける。松井に対しては内角を積極的に突く投球が功を奏した。

 2回も田澤は先頭のホルヘ・ポサダを四球で歩かせ、ロビンソン・カノにもレフトでヒットを放たれる。ここは外野手の好返球もあり、2塁を狙った打者走者のカノがタッチアウト。バックの守りにも助けられ、この回もスコアボードにゼロをともす。

 2イニング連続で踏ん張った田澤に打線は序盤から大量点をプレゼント。初回に4安打を集中して3点を先制すると、2回にはケビン・ユーキリスの3ランなどで4点を追加する。7−0と大量リードを奪い、ルーキー右腕を援護した。

 だが、前日に23安打20得点と爆発したヤンキース打線は一筋縄ではいかない。4回は先頭の松井をセカンドフライでアウトにしたものの、四球と2塁打で1死2、3塁と再び得点圏に走者を背負う。ただ、ここも田澤は我慢の投球をみせた。続くエリック・ヒンスキー、メルキー・カブレラに快音を許さず、0点。流れをヤンキースに渡さなかった。

 田澤は勝ち投手の権利がかかった5回も2死から連打を浴びるが、松井をアウトコースのボールでサードへのフライに仕留め、強力打線相手に要所を締めて得点を与えない。結局、着々と得点を重ねる味方の攻撃にも助けられ、8安打3四死球の内容ながら6回を投げきって無失点で降板した。田澤にとっては2週間前にプロの洗礼を浴びたライバル球団に雪辱を果たす1勝であり、レッドソックスにとっても首位争いに踏みとどまる貴重な1勝だった。なお田澤に完全に封じ込まれた松井は、その後もヒットが出ず、5打数無安打に終わった。