3月12日、いよいよバンクーバーパラリンピックが開幕する。同大会ではアルペンスキー、クロスカントリースキー、バイアスロン、アイススレッジホッケー、車いすカーリングの5競技が行なわれ、世界43カ国から集結した約600人ものアスリートたちの熱戦が繰り広げられる。今大会、日本からは42人の選手が出場し、全競技でメダル獲得を狙う。そこで注目の3選手をピックアップ。選手団主将の新田佳浩(クロスカントリースキー)、同旗手の遠藤隆行(アイススレッジホッケー)、日本史上最年長75歳の比田井隆(車いすカーリング)だ。2月16日に行なわれた日本選手団結団式で語った彼らの今大会への意気込みや競技への思いを紹介する。
 8年越しの悲願達成へ(新田佳浩/クロスカントリースキー)

「いよいよだな、という思いと、4年という歳月が長かったようで短かったな、というふうに今は感じている。
 トリノではメダルを意識しすぎたところもあり、転倒してしまった。その瞬間、ソルトレークシティーからトリノまでの4年間の努力が無駄になってしまった、と思った。しかし、その転倒によって今の自分があると思っている。ソルトレークシティーやトリノでの悔しい思いは絶対したくない。8年越しの思いをバンクーバーでぶつけて、自分らしい滑り、自分が本当にもっている力を100%、120%出し切りたい。自分だけの力ではなく、今まで応援してきてくれた方の力を借りていい滑りをしたいと思っている。そういう思いで滑れば、必ずいい結果が出ると信じている。もちろんトップを目指しているし、いい報告ができればと思っている」

 チーム力でメダル獲得を!」(遠藤隆行/アイススレッジホッケー)

「近年のパラリンピックでは5位入賞が続いているが、一昨年、昨年と世界選手権では4位をキープしている。次に狙うは表彰台というところまできていると思っているので、バンクーバーではみんなで同じ方向を向いてメダルを目指して頑張りたい。
 近年は日本チームだけでなく、アイススレッジホッケー界自体がスポーツとして成長していると感じている。その中で日本チームはどういうふうに諸外国を攻略していくかが重要だが、日本の売りはスピード。その部分で各国を翻弄して、メダルにアプローチをかけたい。
 バンクーバーでは初戦のチェコがキーポイントとなる。この試合の勝敗によって、その後が大きく変わってくると思う。チェコはBグループから上がってきたばかりでAグループでは馴染みの薄いチームだが、1月に長野で試合をした際は非常にうまいチームだと感じた。特にゴールキーパーが体格のいい選手なので、そこをどう攻略していくかがカギとなる。
 上位3チームに後ろからプレッシャーをかけてメダルを持ち帰ってくることが最も重要な使命だと思っている」

 初出場で5位入賞を目指す!(比田井隆/車いすカーリング)

「車いすカーリングは前回のトリノから正式採用された種目なので、一般には馴染みが薄いが、私たちはこれ以上おもしろいスポーツはないと思っている。この競技は力はそれほどいらないので、私のような高齢者でも十分にできる。スキップが指示するところに我々は方向性を間違えずにストーンを投げることが一番重要だ。
 これまで世界大会ではカナダやアメリカ、ドイツといった強豪チーム何度も対戦してきた。正直、負けた数の方が多いが、カナダにも勝ったことはある。スポーツは何が起きるかわからない。頑張れば、勝てるということを信じて、5位入賞を目指して頑張りたい」