南米での戦いではブラジルやアルゼンチンに激しく攻め立てられ、堅守速攻に活路を求めるしかないパラグアイ。一方、アジアでの戦いでは宿敵の韓国を除き、ほぼ一方的に攻めまくる日本。
 しかし、ワールドカップの舞台に立つと彼我の関係は逆転する。

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 ベスト8進出を賭けた戦い、パラグアイのボール支配率は6割近かった。堅守速攻に活路を求めたのは日本だった。残念ながら、これが地力の差というものだろう。
 今大会での日本の奮闘は素晴らしかった。現在の戦力で勝ち点6というのは上出来である。初戦のカメルーン戦に勝ったことで勢いに乗った。

 初戦で勝ち点3をあげた日本をオランダもデンマークも叩き潰しにかかった。オランダには僅差で敗れたが、このタフな経験がデンマーク戦に生きた。そしてパラグアイとの手に汗握る死闘。
 初戦の勝利がなければ、欧州や南米の強豪がこれほどまでに目の色を変えることはなかったに違いない。それによって日本は得がたい経験を積むことができた。そう考えると、カメルーン戦での本田圭佑のゴールは値千金だった。

 おそらくオランダには10回戦って1回勝てるかどうか。4年後、彼我の差が劇的に縮まっているとは思えない。
 重要なのは超えられそうで超えられない壁をいかに超えるかだ。より具体的にいえば難攻不落のパラグアイを攻め落として初めて、日本は次のステージへのチケットを手に入れることができる。世界ランキング1ケタの列強への挑戦は、その後ということになる。
 世界の頂きは、はるかに遠い。登山にたとえていえば、まだ1合目か2合目。坂の上の雲ははるか彼方にある。