北京五輪代表選考会を兼ねた第61回福岡国際マラソンは2日、福岡市の平和台陸上競技場を発着点とする42.195キロのコースで行われ、ハーフマラソン世界記録(58分33秒)を持つサムエル・ワンジル(ケニア、トヨタ自動車九州在籍)が、2時間6分39秒の大会新記録で優勝した。2位はデリバ・メルガ(エチオピア)。ハーフマラソンの日本記録を持つ佐藤敦之(中国電力)が2時間7分13秒で3位に食い込み、北京五輪代表の有力候補となった。
 元日本最高記録保持者の藤田敦史(富士通)は8位、現日本最高記録保持者の高岡寿成(カネボウ)は10位に終わった。4位には終盤に粘りを見せた松宮祐行(コニカミノルタ)、5位には油谷繁(中国電力)が入った。
 レースは序盤からハイペースで進み、30キロ過ぎで先頭集団が佐藤、ワンジル、メルガの3人に絞られた。34キロ過ぎに佐藤が離れ、40キロ過ぎ、ワンジルがメルガを突き放し、トップでゴールテープを切った。
 宮城・仙台育英高で活躍し、卒業後は、バルセロナ五輪マラソン銀メダルの森下監督率いるトヨタ自動車九州に入社。今回、初マラソンながら、ハーフマラソン世界最高記録保持者の実力を見せ、2時間6分39秒の大会新記録で優勝し、「30キロまでは緊張していた。いっぱいいっぱいだったが力が出せてよかった。とても気分が良い」と喜びを語った。

 ワンジル、メルガに離されてからも粘りの走りを見せ、日本歴代4位の好記録で3位に食い込んだ佐藤は、左手を突き上げてゴール。実力者が揃った今回のレースで日本人最高位となり、北京五輪代表の有力候補となった。
 今年7月にはアテネ五輪代表で女子800メートルの日本記録保持者の杉森美保(ナチュリル)と結婚。「夫婦そろって五輪出場」という夢に向かって前進した。