日本相撲協会は12日、臨時理事会を開催し、武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)が辞任を表明した。引き続いて実施された選挙で放駒親方(元大関・魁傑)が新理事長に選ばれた。武蔵川理事長は今回の野球賭博問題で弟子の雅山が関与したとして、監督責任を問われ、名古屋場所期間中まで謹慎処分を受けていた。その間、協会では外部理事の村山弘義元東京高検検事長が代行を務めていたが、武蔵川理事長が胃がんの手術を受けたため職場に戻れず、ようやく5日に復帰したばかりだった。
 相撲協会の理事長が任期途中で辞任するのは、前任の北の海理事長に続いて2代連続。北の海理事長は弟子の白露山に大麻陽性反応が出た際に引責辞任した。後を継いだ武蔵川理事長は不祥事が相次ぐ協会改革を託されたが、今度は現役親方と暴力団とのつながりや野球賭博問題が発覚。自らの健康上の理由もあって、当初は今月上旬に理事長職を辞任する意向を漏らしていた。

 ところが、外部主導で人事が進むことを恐れた理事、親方衆が武蔵川理事長を説得。これを受けて、武蔵川理事長は辞意を翻意し、当面は職にとどまると表明していた。それからわずか1週間での辞任劇だった。この間にも「ガバナンス(統治)整備に関する独立委員会」のアドバイザーなどを務める望月浩一郎弁護士に解任を通告して、後に撤回するなど、協会はまさにガバナンスがとれていなかった。トップが代わったとはいえ、“まわし組”のたらい回しで何が変わるのか。未だにこの組織では改革よりも自己保身が優先されている気がしてならない。