29日から女子バレーボール世界選手権(世界バレー)が開幕し、11月14日まで、東京など国内5つの会場で行なわれる。2大会連続4度目の日本開催となった今大会には、前覇者のロシアと各大陸予選を勝ち抜いた22チーム、そして開催国・日本の計24チームが出場する。第1ラウンドでは6チームごとの4プールに分かれて総当りのリーグ戦を行い、各組上位4チームが第2ラウンドへ。第2ラウンドでは8チームごとの2プールに分かれて、他のプールから勝ち上がった4チームと対戦する。そして第1ラウンドをあわせた成績で競い、各プールの上位6チームが決勝ラウンドへ進出する。昨年から指揮する真鍋政義監督率いる新生・全日本女子が世界の強豪相手にどれだけ自分たちのバレーを見せることができるのか。今や全日本のエースとして成長した木村沙織を中心に1978年の第8回大会以来、8大会ぶりのメダル獲得を狙う。
 北京五輪ではベスト8に終わった日本だが、真鍋新監督となって以降、着実にレベルアップしている。7月のトリノ国際大会ではイタリア、オランダに勝って優勝。8月のワールドグランプリでも世界最強のブラジルを9年ぶりに破る大金星をあげた。そこでエースとして飛躍したのが木村だ。トリノ国際ではベストサーバー賞とMVPを受賞。8月のワールドグランプリではベストスコアラー賞に輝く活躍を見せた。真鍋監督からは「木村だけは外さない」と公言されるほど、指揮官からの信頼も厚い。

 木村のバレーセンスは苦しい場面でこそ発揮される。たとえトスが乱れ、自らの体勢が崩れても、器用に打ち分けられる。相手の高いブロックが3枚押し寄せても、決してあわてることなく、それをよけきってしまう。つまり、瞬時の判断で緩急やコーナーを打ち分けられる、それが木村のすごさである。今回はこの器用さ加えてにスピードを追求。“速攻バックアタック”で世界の高さに対抗する。

 そして、日本にはもう一つの“速攻”がある。5年ぶりに代表に復帰した山本(旧姓・大友)愛だ。JTでもチームメイトの司令塔・竹下佳江とのコンビは抜群。指揮官に言わせれば、竹下の速いトスでの山本のブロード攻撃は“世界一”のスピードを誇るという。打点が高く、ブロックが成立する前に鋭いスパイクを打ち込めるため、日本にとっては欠かすことができない攻撃の要となる。

 また、昨年11月に左ひざの半月板を痛め、今年3月に手術した栗原恵も今大会で代表復帰を果たしている。4年前の前回も左足の故障で欠場、今年8月のワールドグランプリも欠場しているだけにこの大会に賭ける思いは強いはずだ。本格的な練習は7月からで、実戦は昨年11月の世界グランドチャンピオンズカップ以来とあって、完全復帰とまではいかないが、25日のブラジル(世界ランク1位)との練習試合では先発出場を果たした。得意のジャンプサーブや高い打点からのスパイクを打ち込み、キレのある動きを見せており、今大会でも約1年ぶりに背番号1がコート内で躍動しそうだ。

 また、真鍋監督が最も期待しているのがチーム最年少20歳の江畑幸子だ。8月のワールドグランプリで14試合中11試合に先発し、指揮官からの期待の大きさをうかがわせた。国際大会初出場ながら堂々としたプレーで、力強いスパイクを次々と打ち込んだ江畑。ブロックアウト狙いのスパイクも決め、器用なところもうかがわせた。将来のエース候補だけに、そのプレーに注目したい。

 果たして日本は世界の強豪相手にどんなバレーを見せてくれるのか。今大会が日本にとってプラスとなるのか、マイナスとなるのかは2年後に迫るロンドン五輪にも大きく影響を及ぼす。それだけに、結果はもちろん、“これぞ日本のバレー”というところを見せてほしい。